信頼ベースで15億円出資、NECがIFSと協業し中国市場へ

2004/3/30

 NECはスウェーデンの業務アプリケーション・ベンダ「Industrial and Financial Systems」(IFS)に約15億円出資し、中国・アジアでの業務アプリの開発、販売、サポートなどで協業すると3月29日に発表した。NECとIFSはこれまで日本市場向けの製品の共同開発や代理店販売、サポートで協業してきたが、日本企業の中国・アジアへの進出がさらに進むと判断。中国・アジアでの協業強化を決意した。NEC 代表取締役社長 金杉明信氏は「IFSのベント・ニルソン(Bengt Nilsson)副会長とは7年間の付き合い。今回の協業強化は友情、信頼関係がベースとなっている」と述べた。

左からNEC 代表取締役社長 金杉明信氏、スウェーデン大使 ミカエル・リンドストロム氏、IFS 副会長 ベント・ニルソン氏。会見は都内のスウェーデン大使館で行われ、リンドストロム大使が両社の協業を歓迎するコメントを述べた

 IFSの業務アプリ「IFS Applications」はSCM、CRM、会計、生産管理、販売物流、エンジニアリング、メンテナンス、人事管理など、60以上のコンポーネントを持つソフト。特にグローバル展開する製造業向けの機能が豊富で、NECはこれまでSIerとして国内で31社58サイト、海外で17社、18サイトに導入してきた。業務アプリの市場ではIFSはSAP、オラクル、ピープルソフト、マイクロソフトに次いで5位の位置にいるという。

 両社は共同の製品開発チームを設置し、海外に進出する日本企業のニーズをくみ取って製品化する。特にグローバル展開が進んでいる自動車部品製造業向けの業務アプリの機能強化に注力する方針。NECはIFS本社とIFSが持つスリランカの開発拠点にエンジニアを派遣し、共同開発する。製造業をターゲットにした営業活動も共同で行う。コンサルティングや導入サポートも強化。IFSを導入した日本企業の現地法人に対しては、IFSが同社のグローバルサポートサービスを拡大し、24時間の保守サポートや日本語での保守サポートに対応する。NECからIFSの上海サポートセンターに保守サポートの要因を派遣する。NECは「関係強化を確実なものにする」(金杉氏)ために、IFSに約15億円出資し議決権の約10%を取得した。

 NECがIFSとの協業強化でターゲットにするのは日本企業の現地法人。業務アプリのカスタマイズ、システム・インテグレーションやサポートに旨みがあると見ていて、金杉氏は「海外でのソリューションビジネスは年率20%近くの成長が期待できる」としている。金杉氏は「お客さまの国境を越えたサプライチェーンやバリューチェーンをいかにマネージし、サービスを提供できるかが重要」と指摘したうえで、「NECとIFSはお互いのリソースをIFSのアプリケーションを介して共有できるようになる」と述べ、協業のメリットを強調した。

 一方、IFSはNECが持つSI能力、製品開発能力、グローバルなサポート展開を活用し、中国・アジアの国内企業に対しても製品の売り込みを図る考え。NECとの協業強化で「IFSの規模が増して存在感を示せる」(ニルソン氏)とみている。

 ピープルソフトによるJ.D.エドワーズ買収、オラクルによるピープルの買収提案など業務アプリ市場は激変している。金杉氏はNECがIFSに出資したことについて、「出資比率は問題ではない。何を一緒にやっていくかを現場レベルではっきりさせるために出資した」と語ったが、やはり出資したという事実は業務アプリ市場で重く受け止められるのではないか。NECはSAP、オラクルなどの業務アプリもシステム・インテグレータとして扱うが、今後IFSが“NEC系”とみられるのは確実。業務アプリベンダとしてのNECも、今後注目を集めるだろう。

(編集局 垣内郁栄)

[関連リンク]
NECの発表資料
IFSジャパンの発表資料

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