デスクトップLinuxは「N対Mアプローチで」とOSDL

2004/11/5

 Linuxの次のターゲット分野としてデスクトップが注目を集めている。Linuxのエンタープライズ分野への普及促進を図る業界団体であるOpen Source Development Labs(OSDL)でも今年初め、3つ目のイニシアティブとしてDTL(Desk Top Linux)ワーキンググループを発足させ、デスクトップLinuxに関する調査や仕様の策定などの各種取り組みを進めている。

 10月27日、独フランクフルトで開催された欧州最大規模のLinuxのイベント「Linux World Conference & Expo Frankfurt 2004」で、OSDLのオープンソースアーキテクチャースペシャリストのウィリアム・ワインバーグ(William Weinberg)氏が、DTLの取り組みやOSDLの見るデスクトップLinuxの可能性について語った。

 2000年に設立されたOSDLではこれまで、通信事業者向けのキャリアグレードLinux(CGL)、データセンターLinux(DCL)などのワーキンググループを設け、仕様策定などを行ってきた。今回のDTLは、DCLからデスクトップに拡大する「“派生物”とか“副産物”という位置付け」とワインバーグ氏は説明する。

 デスクトップ分野は難関と認識しているようだ。ワインバーグ氏は「何らかの形でデスクトップLinuxを提供しているベンダは失敗か行き詰まりの状態にある」と指摘した。デスクトップにおけるLinuxのシェアは現在でも2〜3%にとどまっているという。OSDLは、デスクトップLinux成功の鍵を握るのはDCLだとみている。つまり、データセンターでの普及を足場にするということだ。

 同氏が実際のアプローチとして示したのは、N対Mのマッピングだ(画面1)。現在、レガシーデスクトップ(Windows)からLinuxへの移行のほとんどは、1対1マッピングのアプローチを採用している。この場合、アプリケーションを多く抱えたファットクライアントの概念をそのまま持ち込むことになり、アプリケーションのサポートという障害にいやでも突き当たってしまう。

OSDLでは、Linuxのデスクトップ環境をN対Mのマッピングを考えている

 OSDLではそうした方向ではなく、常時接続環境という接続性を生かし、デスクトップを“シン(thin)”にし、サーバ側で管理する方がスムーズに進むだろうと見ている。幸い、DCLによりサーバ側の対応は整っている。つまり、デスクトップにおけるLinuxへの移行は、単にデスクトップをWindowsからLinuxに置き換えるのではなく、システム全体の再構築を行うという心構えが必要といえそうだ。

 現在のDTLの取り組みに関してワインバーグ氏は、ユーザーコミュニティ、メンバー企業、ディストリビューター/ハードウェアベンダらが互いに連鎖しながら進化するモデルを描く。ユーザーからの要求をOSDLが収集し、メンバー企業がイニシアティブとしてコミュニティに渡し、仕様を策定する。ベンダが策定された仕様を製品に取り入れる、という流れだ。

 では、Linuxがデスクトップに拡大するにあたっての課題は何か?

 技術的課題としては、セキュリティ、管理性、信頼性(OSの安定)などがある。利用できるアプリケーションの数も重要で、先日のアドビシステムズのOSDLへの参加はよい知らせとなった。マイクロソフトのOfficeについては、「個人的にはOpenOfficeで十分だとは思うが」とコメントした。

 それ以外の課題としては、価格とユーザーの啓蒙を挙げた。中でもユーザー心理は最大の課題という。企業ユーザーはともかく、家庭の一般消費者となると、Linuxの存在すら知らない人も多いだろう。確かに道は険しいが、絶望的ではない。「マイクロソフトだって、以前は同じだった」とワインバーグ氏。「(マイクロソフトも)下の層のユーザーがすぐに使うとは予期していなかったはずだ」。マイクロソフトは時間をかけてユーザーを教育し、裾野を広げていった。「Linuxも、この方針を見習うのは悪くはないのではないか」とワインバーグ氏は述べた。

 現在の進ちょくだが、OSDLでは、ヘルプデスクや受発注入力システムなどの機能が限定された分野などを利用モデルとしている。現在、Capabilities v1.0のドキュメンテーション作業段階にあり、年内のドラフト発表を目指しているという。

(末岡洋子)

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