ウォッチガード、“他社より一けた安い”中小向けSSL-VPN

2005/8/24

 ウォッチガード・テクノロジージャパンは8月23日、米シトリックス システムズと技術提携を締結し、シトリックスのソフトウェアを組み込んだSSL-VPNアプライアンス「Firebox SSL Core VPN Gateway」(以下、Firebox)の販売を開始した。ウォッチガード 代表取締役社長 中井健二氏は「競業商品と比べて一けた安い値段設定になっており、中小企業向けに販売していく。従来のSSL-VPN製品とは一線を画している製品だ」と強調した。

ウォッチガード 代表取締役社長 中井健二氏
 Fireboxは、ハードウェアをウォッチガードが作成し、ソフトウェアはシトリックスのSecure Accessを搭載している。ソフトウェアにシトリックス製品を選んだ理由について、中井氏は「当社はネットワークアプライアンス専業メーカーとして、さまざまな製品を販売してきた。しかし、ソフトウェアをゼロから開発するより、既存の優れたものを採用した方がコスト面などでも得策だと判断した結果だ」と説明した。

 シトリックスもSSL-VPNアプライアンスを販売しているが、シトリックス製品が大企業をターゲットにした製品であるのに対して、Fireboxは中小企業をターゲットとし、価格も下げているという。「両社の製品が競合しないようにするため、シトリックスユーザーに対してFireboxの販売はしない方針」(中井氏)だとしている。

 Fireboxは、クライアントにクライアントモジュールをインストールして利用する「Secure Access clientモード」と、インターネットカフェなど履歴情報を残せない場所において、Webブラウザ経由でのアクセスを提供する「KIOSKモード」の2種類が用意されている。

 Secure Access clientモードでは、まるでオフィスにいるかのようにほとんどのサービスが利用可能で、SSL-VPNでのIP電話サービスもサポートしている。ただし、セキュリティ上の観点から、ウイルス対策ソフトのバージョン/日付やOSのパッチが当たっているかなどを調べ、最新でない場合には修正するまでSSL-VPN接続を復帰させない機能なども備えている。一方、KIOSKモードは漫画喫茶など、不特定多数のユーザーが同じPCを使う場合を想定し、利用したPCに履歴を残さないようにデータの送受信をせずに、画面をイメージとしてPCに送信しているという。

 中井氏は、「中小企業向けのSSL-VPN市場は、ニーズが高いのに未開拓だ。この市場を開拓していきたい」とコメント。トンネル数5つまでの場合で71万7000円という低料金を武器にシェアを拡大していきたいという。

 中井氏は今後の戦略として、販売パートナーとソフトウェアパートナーの増強を挙げた。販売パートナーは2005年当初は9社だったものが、現在は20社、将来的には50社まで拡大したいとしている。「特に販売パートナーは重要だ。個人情報保護法が完全施行されたことで、中小企業の社長などもセキュリティに高い関心を寄せている」と説明した。

(@IT 大津心)

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ウォッチガード・テクノロジーズ・ジャパン

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