第一次世界大戦期のポスター661点をデジタル化、東大

2006/4/5

東京大学大学院情報学環 学環長 吉見俊哉氏

 東京大学大学院情報学環は4月4日、デジタル・アーカイブ「第一次世界大戦期プロパガンダ・ポスター コレクション」を情報学環Webサイト上で一般公開すると発表した。デジタル化されたポスターは661点。第一次世界大戦期にアメリカやヨーロッパで作成されたプロパガンダ・ポスターを当時の外務省情報部が収集、第二次世界大戦後に東京大学新聞研究所(大学院情報学環の前身)に移管したとされている。

 2000年に「戦争とメディア」研究プロジェクトを開始し、テキストの解読と基礎データ調査、画像データベース構築の作業を進めてきた。このプロジェクトを指揮した学環長 吉見俊哉氏によると、2003年ごろまで、このようなデータベース化の作業には2つの障害があったという。1つは技術的な障害だ。ポスターの画像データベースを学際的な研究プラットフォームとしていくには、先端的なデジタル・アーカイブ技術と結合させていかなくてはならない。現大学院情報学環の前身の1つであった社会情報研究所は人文系研究機関であり、コンピュータ・サイエンス分野に明るい人材が不足していた。それが2004年4月、コンピュータ・サイエンスやデジタル・アーカイブ技術の専門家が集まる大学院情報学環と合併したことで、技術的な面での障害をクリアする道が開けた。

 第2の障害はポスターの印刷形式にかかわるものだった。コレクションのデータベースを第一線の研究に役立つものにするには、ポスターの印刷形式や色数の詳細データが不可欠だ。しかし、第一次世界大戦期のポスターの版式を解読するには、極めて高度な専門知識や経験が必要だということが徐々に明らかになってきた。そこで2005年春、女子美術大学大学院教授の森啓氏をはじめとする専門家をプロジェクトに招き、難航していた版式調査を完了させた。

 「第一次世界大戦期プロパガンダ・ポスター コレクション」のような戦時資料は、同学環のほかにも、京都工芸繊維大学美術資料館やトッパン印刷博物館など、さまざまな研究機関で収蔵されている。吉見氏は戦時資料アーカイブのネットワーク化構想があるとし、組織を超えたデジタル・アーカイブの構築について言及した。

(@IT 谷古宇浩司)

[関連リンク]
第一次世界大戦期プロパガンダ・ポスター コレクション
吉見俊哉研究室

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