「On Demand」を大幅強化、オラクルがソフトのサービス化推進

2006/8/1

 日本オラクルは7月31日、顧客システムの運用管理を代行する「Oracle On Demand」の大幅強化を柱とするサポート・サービス事業の新戦略を発表した。すでに米オラクル本社が始めている業務アプリケーションのネットワーク経由でのサービス提供を今年度(2006年6月−2007年5月)中に、国内で始める計画。日本オラクルのカスタマーサービス統括本部 オンデマンド&ACS本部長 荻矢隆雄氏は「今後はすべてのアプリケーションをオンデマンドの形態でサービスとして提供していく」と話した。

日本オラクルのカスタマーサービス統括本部 オンデマンド&ACS本部長 荻矢隆雄氏

 同社は現在、Oracle Databaseや、ERPの「Oracle E-Business Suite」、グループウェアの「Oracle Collaboration Suite」にオラクルのエンジニアがリモートでアクセスして運用管理するサービスを、Oracle On Demandの名称で展開している。Oracle On Demandは前年度に287.3%の大幅成長。利用システムも45まで拡大した。今年度は業務アプリケーションをサービス提供する「Oracle Applications On Demand」などの提供で「2倍以上の成長、100システムの獲得を目指す」(荻矢氏)。
 
  オラクルは、米本社が買収したシーベル・システムズのSaaS型CRM「Siebel CRM On Demand」も、日本オラクルインフォメーションシステムズ(OIS)と協力して提供開始する計画だ。

 オラクルのサポート・サービスは、ソフトウェアの保守やアップデートを収益源とする「アップデート&プロダクト・サポート」と、Oracle On Demandやミッションクリティカルなシステムをサポートする「Advanced Customer Services」からなる「アドバンスト・サポート」の2本立て。日本オラクルの常務執行役員 カスタマーサービス統括本部長 細谷哲史氏は、アドバンスト・サポートを強化することでサポート・サービス事業全体の成長を図る考えを強調した。今年度は、アップデート&プロダクト・サポートで9.2%、アドバンスト・サポートで44.2%の成長を狙う。

 OISとのサポートの一元化も進める。米オラクルが今年度前半に中国・大連に開設するサポートセンターと連携し、国内で高度なサポート・エンジニアが確保できない買収製品のサポートを担当させる。米オラクルのほかのサポートセンターとも連携し、「日本で問題を受け付けて海外の専門家に回す」(オラクル)ことで買収製品のサポート品質を確保。オラクル製品とサポートの窓口が分散しないようにする。海外のサポート・エンジニアを日本で研修することも検討している。カスタマーサービス統括本部では今年度、約330人の担当者を53人純増させる計画だ。

(@IT 垣内郁栄)

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