IDC Japanが提言

Windows VistaはニンテンドーDSに学べ

2007/01/19

 5年ぶりのメジャーバージョンアップとなったWindows Vistaが1月30日、一般ユーザー向けに発売される。PCベンダやソフトウェアベンダ、量販店など関係者はWindows Vista発売でPC市場の再活性化を目論む。しかし、IDC JapanのPC グループマネージャー 片山雅弘氏は「PC市場は新たなバリューが必要。このままでは明るい未来は決してない」と話し、業界全体に戦略の再考を迫る。

 家庭向け、法人向けを合わせた国内PC市場は出荷台数では何とか増加傾向を維持しているが、成長率は減少傾向が鮮明。そのためWindows Vistaへの期待はかなり大きい。しかし、家庭向けで見た場合、「Windows Vistaでは、Windows 95、98の時のようなPCの爆発的な伸びは残念ながら期待できない」と片山氏は話す。IDC Japanが予測する2007年の家庭向けPC市場は、出荷が569万台で、成長率は5.8%。飛躍的な伸びは予測していない。

“1人1台”化で成長は可能、ヒントは“学習”

idc01.jpg IDC JapanのPC グループマネージャー 片山雅弘氏

 ポイントになるのは世帯普及率だ。Windows 95、98の発売時のPCの世帯普及率は10%程度で、大きな伸びしろがあった。しかし、Windows XP発売時は57.2%(2001年度末、総務省 情報通信白書)、2005年度末では68.3%で、「入るところにはすでに入っている」状態だ。そこで、片山氏が提案するのはPCを“一家に1台”から“1人1台”にすること。米国では出荷台数が年々伸びているが、それはPCを1人1台で使うこと家庭が増えたからだ。

 では、PCを1人1台使うようになるためには何が必要だろうか。片山氏は「Windows Vistaはペン入力のサポートや起動時間の短縮、Windows Aeroなど使いやすさやユーザーインターフェイスが改善している。これを利用したキラーコンテンツの開発が必要だ」と提案する。

 さらに片山氏は任天堂のポータブルゲーム機「ニンテンドーDS」の大ヒットを取り上げ、キラーコンテンツのヒントは知的好奇心を刺激する“学習”と指摘した。ニンテンドーDSは学習をキーワードに子供から熟年層までユーザー層を広げた。PCもこの戦略を取り入れて、ユーザー層を広げるキラーコンテンツを掘り起こすべきというのが片山氏の考えだ。

シンクライアントが注目集めるか

 一方、法人市場に与えるWindows Vistaの影響はどうだろうか。片山氏は「PCのビジネス市場は経済状況に左右される。Windows Vistaそのものによる影響は薄い」と断言する。IDC Japanが予測する2007年の法人市場向けのPC出荷台数は、865万台で1.2%の成長にとどまる。

 それでも2007年後半からは老朽化したPCのリプレースが始まるが、片山氏は「後半から始まる買い替えはCPUの置き換え、ハードディスクドライブの容量アップのような単純な買い替えではないだろう。なぜなら現行のPCでも問題なく使えるからだ」と話す。企業が求めるさまざまなニーズに応えられるPCだけが、企業に選ばれることになる。

 企業は「コンプライアンス対応や、Winnyによる情報漏えいを受け、特にセキュリティへの関心が高い」と片山氏は解説。そのうえで「シンクライアントが追い風を受けるだろう」と話す。シンクライアントのソリューションが国内で揃ってきたのは2005年で、当時はコールセンターや金融の一部業務などエリアを限定した導入が多かった。

 しかし、片山氏の予測では「2007年は一般企業においても様子見。後半からは本格普及が始まる。2008年から2009年にかけて大規模導入が相次ぎ、飛躍的に伸びる」。IDC Japanは2010年には34万台のシンクライアントが出荷され、同年の法人向けPCの出荷台数のうち、シンクライアントが約3.5%を占めると見ている。

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(@IT 垣内郁栄)

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