東京・市ヶ谷

コンシェルジュもいる、日本HPのフリーアドレスオフィスを見てきた

2007/03/02

 日本ヒューレット・パッカードは3月2日、同社東京・市ヶ谷の本社を報道陣に公開した。HPはワールドワイドで自席がないフリーアドレスオフィスを導入していて、市ヶ谷オフィスも400席のフリーアドレス席を導入している。日本HPのワークプレイスソリューション本部 企画室 西崎泰司氏は「コラボレーション、コミュニケーションが取りやすくなり、効率が上がる。また社員が世の中の変化を先取りできるようになる」とフリーアドレスのメリットを語った。

 日本HPは2001年4月から市ヶ谷オフィスへの入居と同時にフリーアドレスを導入した。2006年10月末には旧本社だった東京・天王洲のオフィスが廃止となり、400人が市ヶ谷オフィスに移った。「さらにフリーアドレスが加速した」(西崎氏)。現在は400席のフリーアドレス席を800人がシェアして使う。フリーアドレスで働いているのは外出が多い、営業やマーケティング、システムエンジニアなどの担当者。席は2人に1人の計算だが、「在席率の調査をしたら最高でも60%だった。全員が一度に帰ってくることはないので大丈夫」(西崎氏)という。

hp01.jpg 市ヶ谷オフィス8Fのフリーアドレススペース
hp02.jpg 三角の席を組み合わせた固定席スペース
hp03.jpg 集中したいときに使うフォーカスブース。「電話ボックス2個分のスペース」(西崎氏)

 社内業務が多い従業員や上位の職種の者は主に500席の固定席を使う。固定席、フリーアドレス席のほかに、集中したい場合や、他人に聞かれては困る会議などを行う「フォーカスブース」、ホワイトボードが備え付けられていて、即席で会議を開ける「オープンチームスペース」もある。

 フリーアドレス導入の前提になっているのが、いつでもどこでも仕事ができる環境だ。社内外のどこでも自席と同じような仕事環境がないとフリーアドレスは成功しない。HPはIP電話を整備し、フリーアドレス席のIP電話にログインすれば自分の電話番号を使えるようにした。無線LANやインスタントメッセンジャー、バーチャル会議システムの「HP Halo」も用意し、従業員がオフィスのどこにいても同じように働けるようにした。社外では貸しオフィスの「DESK@」やコピーサービスの「キンコーズ」と契約している。

hp04.jpg 即席で会議が開けるオープンチームスペース

 IT業界を先例にフリーアドレス制を導入する企業は増えているが、「半年もするとフリーアドレスが固定化して自分の席になってしまうケースが多い」と西崎氏は話す。この席の固定化を避けるために日本HPが導入しているのが、「コンシエルジュサービス」だ。

 同社の総務部門が行うサービスで、フリーアドレスを維持し、使いやすくなるよう庶務的なサービスを提供する。具体的にはフリーアドレススペースが最大限活用されるよう調整。コピー機、プリンタのトナー交換や用紙補充を行って従業員が自分の業務に集中できるようにする。オフィスのレイアウトも従業員が最大限働きやすいように設計されていて、「プリンタは15メートル以内に配置するのが最も効率がよい」(西崎氏)などの考えを反映させている。

(@IT 垣内郁栄)

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