初期費用30万円、月額1万1800円から

松坂よりも岡島でいく! クオリカがASP型シンクライアントサービス

2007/05/24

 クオリカは5月24日、シンクライアントシステムをASP形式で提供するサービス「クオリカ・ビジネス・クライアント・ソリューション QuaBiz」(以下、QuaBiz)を7月1日から開始すると発表した。

藤宮氏写真 クオリカ 代表取締役社長 藤宮宏章氏

 クオリカは、コマツのソフトウェア開発子会社として1982年に設立。その後、2000年にTISが株式譲渡を受け、同社のグループ会社となった。クオリカ 代表取締役社長 藤宮宏章氏は、「当社は長年にわたって、コマツのソフトウェアの受託開発やハードウェアの運用を行ってきた。すでにコマツの1万台を越えるPCの運用実績もある。こういった背景から、特に組み立て製造業に強みを持っている」と語り、ソフトウェア開発やシステム運用の実績をアピールした。

 QuaBizは、シンクライアントシステムを月額料金で利用できるASPサービス。システムは、日本ヒューレットパッカードのブレードサーバを利用したシンクライアントシステムであるCCI(Consolidated Client Infrastructure)を採用した。サーバ群は、クオリカが持つ栃木県のデータセンターに収納される。最低契約数は10台からで、初期費用30万円、参考価格は1台当たり月額1万1800円から。

 具体的には、最初に企業システムとクライアントPCの替わりとなるブレードサーバをデータセンターに用意。ユーザーはシンクライアント端末から、インターネットを通じてデータセンターのブレードPCに接続して利用する。クオリカは、ブレードPCの環境や、1社当たり1つのマスターイメージの利用、サービスデスク、予備機による故障対応を提供する。オプションサービスには、各種シンクライアント端末や個人プロファイル管理、Active Directoryなどを用意する予定だ。

 藤宮氏は、「昨今注目されている日本版SOX法への対応や、内部統制強化、情報漏えい対策などの観点から、シンクライアントは今後かなり伸びる市場だと考えている。ただ、シンクライアント導入では、初期コストや導入時の教育などが敷居を上げている。その点、QuaBizはASPサービスなので初期費用や運用コストを低減できるはずだ。まずはチェーン展開している店舗での端末や、テレワーク用の端末などでの活用を想定し、2010年に契約台数1万台、売上規模20億円を目指す。メジャーリーガーに例えると、年俸が6年61億円の松坂よりも、2年2.9億円ながら連続無失点試合19を記録して活躍している岡島のような、“お買い得感”のあるサービスを目指したい」と語った。

 また、インターネットを経由してシンクライアントを利用する点について、日本HP パーソナルシステムズ事業統括 執行役員 マーケティング統括本部長 松本光吉氏は、「CCIでは、RDP(Remote Desktop Protocol)による画面データしか回線上に流れていないので、それほど帯域を必要としない。それよりも遅延の方が気になる。私もシンガポールや香港などに出張に行き、市ヶ谷につないでシンクライアントを利用するが、帯域の問題よりもマウスクリック時などの遅延の方が気になっている。例えば、1秒間に1回PowerPointをめくるような、画面遷移が多いユーザー向きではないかもしれない」と説明した。

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(@IT 大津心)

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