ビジネスとITの橋渡しを目指す

開発期間を約7割削減も可能、日本IBMのビジネス指向SOAツール

2007/07/19

 日本IBMは7月19日、ビジネスルール製品に似た使い勝手で、SOAに基づく業務システムの開発期間を短縮する新製品「IBM WebSphere Business Service Fabric V6.0.2」(日本語版)を7月20日に出荷開始すると発表した。新製品は米Webify Solutionsを米IBMが2006年8月に買収したことで獲得したものだ。

ibm01.jpg 日本IBM WebSphere事業部長 山下晶夫氏

 「SOA化ではまだボトムアップのEAI的なアプローチが主流だが、本来はトップダウンでの業務再構築のほうが効果は出るといわれている。しかしトップダウンでのSOA活用では、サービス粒度の見極めやガバナンスの徹底、サービス管理などの顧客にとって困難な問題があり、これらの解決が重要な鍵になる」と同社 WebSphere事業部長 山下晶夫氏はいい、同社は新製品でこれらの問題に対応すると話した。

 IBM WebSphere Business Service Fabric V6.0.2はビジネスの視点でSOAに基づく業務プロセスの構築と運用を行うためのツールおよび実行環境だ。日本IBMは3月にビジネスプロセスをモデル化する「WebSphere Business Modeler」を発表した。しかしこうしたツールが生み出すモデルと、実際のITシステムへの実装との間にはまだ大きな乖離(かいり)がある。新製品は、ビジネスポリシーに基づいてSOAの各種サービスを組み立てる環境を実現することで、ビジネスとITの橋渡しをする。これまで内部設計を行っていた人々による利用を想定しているという。

 新製品は開発・テスト環境の「IBM WebSphere Business Services Fabric Tools Pack V6.0.2」と実行・管理環境の「IBM WebSphere Business Services Fabric Foundation Pack V6.0.2」で構成される。Tools PackはEclipseベースの開発ツール「WebSphere Integration Developer」とそのプラグインである「Composition Studio」をバンドルしたもの。画面上で複数のシステムそれぞれから切り出されたサービスや表示形式、アクセス権限などから成る「ビジネス・サービス」を設計でき、これを組み合わせることでシステムを構成できる。

 Foundation Packは「Dynamic Assembler」「Governance Manager」「Performance Manager」などから成る。「Dynamic Assembler」はTools Packで生成したビジネス・サービスを動的に参照し、ビジネスポリシーを自動的に適用して実行する。「Governance Manager」「Performance Manager」はSOAガバナンスのためのツール。変更管理や性能管理に必要な情報を提供できる。

 米国でWebfy時代に同製品を導入したある保険会社の事例では、代理店向けのシステム構築で開発期間を約7割圧縮し、開発コストを約3割削減することに成功したという。

 IBMでは、特定のビジネスプロセスに焦点を当てて事前に構築されたビジネス・サービスの集合体を「コンポジット・ビジネス・サービス」と呼び、今後はコンポジット・ビジネス・サービスを活用したソリューションが普及していくだろうとしていう。ただし、IBM自身はコンポネット・ビジネス・サービスを提供する予定はないという。

 日本IBMは今回併せて「Industry Content Pack」4種を発表した。Industry Content Packはユーザー企業がカスタマイズして利用するためのビジネス・サービス・テンプレート。同社ではHIPAAをはじめとする業界のプロセス標準が確立したものから順次、こうしたテンプレートを提供していく。発表したのは銀行の決裁業務、保険会社の損害保険業務、医療保険企業の支払いプロセス、通信企業の請求などの業務のContent Pack。

 日本IBMでは先進事例を作り上げる年として2007年を位置付ける。まず同社自身のSIプロジェクトへの適用から始め、SIパートナーとの協業で数社に対する導入を推進。これに基づいて2008年に販路を拡大するという。

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(@IT 三木泉)

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