Oracle Demantra

サプライチェーンは究極的には2つの方式しかない

2007/09/10

 「サプライチェーンは究極的には2つの方式しかない。完全個別受注生産と完全需要予測生産だ」。日本オラクルのアプリケーションビジネス推進本部 ソリューションビジネス推進部 シニアディレクター 岡田行秀氏は、サプライチェーン管理(SCM)の将来をこう予測する。製造業に代表される日本のグローバル企業は、生産や調達、販売などのサプライチェーンが全世界に拡大。SCMの有効な展開が企業の競争力に直結するようになっている。

oracle01.jpg 日本オラクルのアプリケーションビジネス推進本部 ソリューションビジネス推進部 シニアディレクター 岡田行秀氏

 完全個別受注生産で先を行くのは建機メーカーや一部の自動車メーカー。顧客からの注文に基づき生産するため利益を圧迫する在庫を持つ必要がなく、効率的なSCMを実現できる。だが、完全個別受注生産は自動車などの高価格製品でしか成り立たない。一般消費財や情報家電では難しい。そのため、岡田氏が今後盛り上がると予測するのは完全需要予測生産だ。顧客の行動を予測し、全社規模で需要計画を組み立てて、共有する。戦略立案から企画、製造、物流、販売までSCMの全プロセスが需要予測の対象となる。

 SCMの需要予測は1990年代後半にも導入が進んだが、需要エンジンのアルゴリズムが限定されるなどの問題があり、精度は高くなかった。その当時の予測精度は60〜70%。しかし、米オラクルが買収し、日本での展開も始まった需要予測製品「Oracle Demantra」では80〜90%の高い精度を実現するという。岡田氏によると、Demantraは27個の予測アルゴリズムを持ち、予測データに対してパターンマッチングを実施。複数のアルゴリズムの最適な部分を組み合わせて需要を高い精度で予測できる。

 このアルゴリズムの最適化の手法はベイズアプローチ(ベイジアンアプローチ)と呼ばれる。複数の統計的予測モデルの中から、より将来に見合った説明をしていると思われるモデルを選択して合成し、さらによりよりモデルを目指して繰り返し合成を行う手法で、Googleも採用しているといわれる。オラクルはベイズアプローチを「製品ライフサイクルの短縮化が加速する現代により適合した予測エンジン」と説明している。

 オラクルによるとDemantraはグローバルで約100社が採用。日本国内でも「多数の引き合いがある」という。

関連リンク

(@IT 垣内郁栄)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)