米ヴイエムウェアのチーフサイエンティストが披露

サーバ仮想化の近未来を示す3つのデモ

2007/09/14

 米ヴイエムウェアの共同設立者/チーフサイエンティストでスタンフォード大学助教授のメンデル・ローゼンブルム(Mendel Rosenblum)氏は米国時間の9月13日、VMworldの基調講演において、仮想化ソフトウェア「VMware」の近未来を示す3つのデモを行った。

rosenblum01.jpg 左の実稼働仮想サーバが停止しても、右のバックアップ側がリアルタイムで同期されていたメモリのステートを保持したまま動作を続けた。左の人物がローゼンブルム氏

 1つは「Storage VMotion」。VMwareの「VMotion」は稼働を止めることなく仮想マシンを物理的に移動する機能だが、これをストレージに適用したもの。デモではOracleデータベースを稼働したまま、データを別個のストレージに移動して見せた。ローザンブルム氏は「ストレージのリース切れや、導入時のミスで同一のストレージに多数の仮想マシンを設定し過ぎてしまった際などに便利」とした。

 2つめはVirtual Applianceのストリーミング。Virtual ApplianceはOSとアプリケーションを1つのパッケージにした(つまり仮想マシン)ファイルで、ヴイエムウェアは新しいソフトウェアの流通形態として推進している。Virtual Applianceをダウンロードしてから導入作業に入るのが現在の形態。しかし、デモではダウンロードするデータブロックに優先順位をつけることにより、ダウンロードの終了を待つことなく導入作業を開始し、起動までの時間を短縮できることを示した。こちらはデスクトップをサーバ側で動作させることで仮想化を行う「Virtual Desktop Infrastructure」に適用できるという。

 3つめは、同社のPC仮想化ソフトウェア「VMware Workstation 6」の新機能である「Record&Replay」に似た機能をサーバに適用したフォールトトレラント・ソリューション。実稼働の仮想マシンとバックアップの仮想マシンの間で、メモリの内容を含めて完全に同期ができる。実稼働の仮想マシンのメモリの内容は直接バックアップ用の仮想マシンに転送される。デモでは2台の物理マシン上で仮想マシンの形でMicrosoft Exchange Serverを動かし、実稼働側の仮想マシンが動いているサーバのプラグを抜いても、バックアップ側が動作を完全に引き継げることを示した。これはハードウェア障害に安価に対応できるソリューションとして活用できる。

 仮想化ソフトウェアによるコンピューティング・リソースの自動的な割り当てや調整機能も、今後のアルゴリズムの改良によりさらに正確なものになり、サーバの利用効率を上げられるという。

 「われわれは、まだ仮想化が実現できることの表面を引っかいている程度の段階だ」。サーバ仮想化の威力を本当に示せるのはこれからだとローゼンブルム氏は話した。

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(@IT 三木泉)

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