DWHの新バージョン「Teradata 12」なども発表

米テラデータとSASが戦略的提携〜パフォーマンスの向上などを実現

2007/10/09

 米テラデータは10月8日(現地時間)、米ラスベガスで開催中のユーザーカンファレンス「2007 Teradata PARTNERS Conference & Expo」(以下、PARTNERS 2007)において、米SASと戦略的提携を締結すると発表した。提携により、両社製品の最適化やカスタマイズを実施し、大幅なパフォーマンス向上を実現したという。

テラデータ導入でデータ管理が効率化し、顧客満足度向上を実現

コーラー氏写真 PARTNERS 2007で講演する米テラデータ CEOのマイク・コーラー氏

 PARTNERS 2007は、毎年行われているテラデータユーザーが主催するユーザーカンファレンス。今回はテラデータが米NCRから分社化してから初めての開催となったものの、参加者数3875人で前年の3500人を上回り過去最高の参加者となった。今年のテーマは「Insights into Action」。これは、日々の仕事の中でのさまざまな洞察(ひらめき)を実際の行動に結びつけようというもの。そのためのデータウェアハウス(DWH)の活用方法などが数多く紹介された。

 基調講演のホストを務めた、全米でレストランチェーンを展開するApplebee's Internationalでデータベース管理者を務めるランディ・パーマン(Randall Parman)氏によると、同社では顧客データ管理のためにテラデータのDWHを構築。4ノードのテラデータサーバに4テラバイトのデータを保存・活用しているという。

 DWHには、顧客満足度や注文数、単価、滞在時間などあらゆるデータを保存。これらのデータを組み合わせることで新しいメニュー構成などを決めているという。また、キッチン内のデータも収集し、メニューごとの作成時間などを最適化・効率化することで料理を提供するまでの時間を短縮。接客時間の向上などに当てているとした。パーマー氏は、「テラデータの導入で、パフォーマンスが大幅に向上した。いまではテラデータなしでの分析は考えられない」とコメントした。

パフォーマンスを30%向上させた最新版「Teradata 12」をリリース

 続いて登壇したのは、テラデータの分社化によって同社CEOに就任したマイク・コーラー(Mike Koehler)氏。同氏は、まず業績を説明。2006年の売上高は15.6億ドル、2007年も半期で7.84億ドルと好調を維持しているとした。また、分社化によるメリットには、DWH分野に特化できるようになった点を挙げた。

 そして、コーラー氏は新製品として新しいデータウェアハウスソリューション「Teradata 12」やデータ管理ツール「Teradata Relationship Manager Version 6」を発表した。Teradata 12は、データベース「Teradata Database 12」や管理製品、コンサルティングサービスなどを含んだ総合データウェアハウスソリューション。同社の最新エンタープライズサーバである「Teradata 5500 Server」にも対応した。「37の新機能を追加したが、最大の特徴はパフォーマンスの向上だ。従来比で30%のパフォーマンスを向上させた。クエリへの反応も改善した」(コーラー氏)とアピールした。

 Teradata Relationship Manager Version 6は、Teradata 12のデータ解析・管理ツールで、Teradata 12のデータをさまざまな視点から分析が可能。JavaベースなのでWebブラウザとの親和性も高い点が特徴だ。

SASとの提携によって、36時間掛かっていた処理が1時間15分に短縮できた

 続いてコーラー氏が発表したのが、米SAS Instituteとの戦略的提携について。この提携によって、両社はより技術的な協力を促進し、両社製品の親密度を上げていく。コーラー氏に紹介されて登壇した米SAS CEO ジム・グッドナイト(Jim Goodnight)氏は、「両社は競合する部分もあるが、協力しあえる部分も大きい。テラデータのDWHと当社のBIがより強固に融合することでユーザーにより大きなメリットを与えられる」と強調した。

コーラー&グッドナイト氏写真 2社の提携について話すマイク・コーラー氏(左)とジム・グッドナイト氏(右)

 例えば、従来はテラデータのDWHに入っているデータをSASのデータベースに入れてからBIにデータを渡すケースが主流だったという。提携後は、DWHからSASのBIに直接データの受け渡しができるようになり、パフォーマンスが大幅に向上するという。実際、SASのBIとテラデータを利用しているユーザーのケースでは、「従来36時間掛かっていた処理が1時間15分に短縮されたケースもある」(グッドナイト氏)といった事例も紹介した。

 そのほかにも、両社製品の製品強化センターの設立や、2社共同のロードマップ構築、共同のテクニカルコンサルティング業務などを検討中。テラデータ製品のSAS向けの最適化や、その逆の最適化も実施していくという。まずは、金融と流通分野で開始し、将来的にはそのほかの分野にも広げていく方針だ。

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(@IT 大津心)

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