ソフトウェア管理のコスト削減を目指す

国際基準に対応したソフトウェア資産管理の新基準

2007/11/27

 ソフトウェア資産管理コンソーシアム(SAMCon)は11月27日、ソフトウェア資産管理に関するベストプラクティスの最新版「ソフトウェア資産管理基準 Ver.2.0」を発表した。Ver.1.0から5年ぶりの改訂であり、2006年5月に策定された国際基準「ISO/IEC 19770-1」を反映させるなど、大幅な改訂となった。

 SAMConはソフトウェア資産の拡大により、ソフトウェア資産の管理の重要性が増したことから2002年5月に設立された、国内企業で構成される団体。SAMCon会長のNECソフトウェア中部 システムソフトウェア事業統括マネージャー 加藤憲昭氏は、「設立当時はまだソフトウェア管理ソフトもほとんど存在せず、それぞれの企業が独自に手作業で行っていたケースがほとんどだった。そのため、効率的なソフトウェアの管理基準を早急に確立してほしいというニーズが非常に多かったことから、団体設立につながった」と説明した。

 SAMConは、ソフトウェア管理ツールベンダやソフトウェアベンダ、コンサルティング会社、監査法人などで構成。主な目標には「管理コスト負担の低減」を挙げている。具体的には、「ソフトウェア資産管理基準」とそれを評価するための「ソフトウェア資産管理 評価基準」を提供しているほか、ソフトウェア管理の国際基準である「ISO/IEC 19770」の策定ワーキンググループにも参画している。

 ソフトウェア資産管理基準はソフトウェア管理のベストプラクティスで、「方針・体制」「ソフトウェア資産管理の基本機能」「環境整備」「コスト」「セキュリティ」「ほかの関連業務とのインターフェイス」など13の管理項目、47の管理要件で構成されている。また、「ソフトウェア資産管理 評価基準」は、管理基準にどの程度準拠しているかを6段階の成熟度モデル評価するためのもの。SAMCon副会長で監査法人トーマツ パートナーの田村仁一氏は、「ソフトウェアは目に見えないものなので、非常に管理が難しいものだ。一方で、内部統制やコンプライアンス対応への機運が昨今非常に高まっていることから、ソフトウェア管理への需要は確実に伸びている。しかし、基準を提供しただけでは、『では、自分たちの会社では何をすれば良いのか?』が分かりにくかった。このことから、現在の立ち位置を分かりやすくするための評価基準を策定した。両方活用することで、管理が容易になるはずだ」とコメントした。

加藤氏&田村氏写真 (左)SAMCon 会長 加藤憲昭氏(右)同副会長 田村仁一氏

 ソフトウェア資産管理基準の最新版であるVer.2.0では、国際基準の「ISO/IEC 19770-1」を考慮し、“Ver.1.0になくISO/IEC 19770-1にあった部分”を取り込んだ。また、Ver.1.0のリリースから5年経過していることから、「現状に合わせた改訂をいくつか行った。5年経てばITも変わっている部分が多い」(田村氏)という。具体的には、ISO/IEC 19770-1の「ソフトウェア管理におけるインベントリ管理の枠組み」の部分と、「運用管理プロセス」のほかの業務とのインターフェイスの部分を追加した。

 加藤氏は、「ソフトウェア管理は、コストが重要なポイントだ。ソフトウェアを購入するためコストはもちろんかかるが、できる限り管理コストを削減し、トータルコストを削減することをソフトウェア資産管理基準では目指している。今後、Ver.2.0に対応した評価基準や英語版の策定を進めていく」とコメントした。

(@IT 大津心)

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