Windows Media Center向け拡張パックを提供

15万円以下のPCにも地デジを、Vistaがネイティブ対応に

2008/06/13

 マイクロソフトは6月13日、Windows Vistaの「Windows Media Center」で地上デジタル放送が受信できるようにする拡張機能「Windows Media Center TV Pack」をPCメーカー向けに提供開始すると発表した。今夏までに開発を終えて順次メーカーに提供する。地上デジタル放送に対応したWindows Media Centerを搭載したPCは今夏以降に登場する見通しだ。

 Media CenterはVistaのHome PremiumとUltimateが搭載している機能。これまでは地上デジタル放送に対応せず、各PCメーカーは別の受信アプリケーションを用意して、PCで地上デジタル放送を見られるようにするケースが多かった。

tv01.jpg 日本テレビ放送網のWindows Media Centerを使ったTV放送サンプル。スポーツ中継を見ながら選手のデータを確認できる
tv02.jpg テレビ朝日はWindow Vistaのサイドバー ガジェットとWindows Media Centerを連携させている

 マイクロソフトはMedia Centerが地上デジタル放送に対応することで、従来のハイエンドPCだけでなく、標準価格帯の「ボリュームゾーンPC」でも地上デジタル放送の対応が増えると予想している。

 JEITAの資料によると、2008年4月までの地上デジタル放送対応機器の出荷台数は3462万台(ワンセグ除く)、うち地上デジタル放送対応のPCは109万台に過ぎない。GfK Japanの調査によると、地上デジタル放送対応PCの出荷はデスクトップPCのうち、30%にも満たず、「立ち上がりが遅れている」(マイクロソフトのデジタルエンターテイメントパートナー統括本部 本部長 笠原健司氏)。

 同じくGfK Japanの調査によるとデスクトップPC、ノートPCとも地上デジタル放送対応PCと、非対応PCの価格差は約5万円で、マイクロソフトはこの差が普及の阻害要因と考えている。Vistaが地上デジタル放送にネイティブで対応することでPCメーカーは開発費用を削減できる。結果として15万円以下のボリュームゾーンPCにもチューナーを搭載してくることをマイクロソフトは狙っている。

 Media Centerの地上デジタル放送では「TVの基本機能を快適に操作できることに注力した」(笠原氏)という。以前から行っているVistaのサイドバーガジェットとMedia Centerとの連携機能も活用し、ユーザーが簡単に視聴や録画ができるようにしている。TV Packは当初はPCメーカーにしか提供しないが、「パッケージ販売やアップグレードも将来はできるように検討を続けていく」(笠原氏)という。

 Vistaの地上デジタル放送対応はPCメーカーが長く待ち望んでいた機能だが、開発には時間がかかった。笠原氏は「コンテンツ保護機能の開発に注力して、流出やコピーの被害が出ないようにした。それで時間がかかった」と話した。

 また、マイクロソフトの執行役 常務 ビジネス&マーケティング担当 佐分利ユージン氏は「Vistaは世界で5月までに1億4000万ライセンス出荷」と説明し、「過去のWindowsのバージョンの中でも一番速いペースで、堅調(な出荷)と思っている」と話した。

(@IT 垣内郁栄)

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