訴訟は継続

マイクロソフト、XML特許問題でWordを修正

2010/01/12

 米マイクロソフトはカナダのソフトウェア企業i4iに起こされた特許侵害訴訟への対応として、オンラインストアでのOffice 2007の販売を一部停止したほか、Microsoft Word 2003およびWord 2007向けのパッチをオンラインダウンロードセンターで公開している。

 この特許侵害訴訟では、「マイクロソフトのWordはi4iが所有するカスタムXMLの特許を侵害している」との判断により、マイクロソフトは裁判所からWordの販売差し止めを命じられ、その期限が1月11日とされていた。マイクロソフトはかねてより、問題とされている機能を削除し、i4iの特許を侵害しないようWordを作り直すことでこの差し止め命令に従う意向を示していた。

 一方でマイクロソフトは米連邦巡回控訴裁の11人のすべての判事に対し、この長期にわたるi4iとの訴訟の内容を見直すよう要請している。米テキサス州東部地区連邦地裁が2009年8月に下したオリジナルの判決は、マイクロソフトに対し、i4iへの総額3億ドル近くの賠償金の支払いのほか、Wordの販売を60日以内に停止するよう命じる内容だったが、同社はこれまでのところその実行をなんとか回避してきた。米連邦巡回控訴裁は12月22日、地裁の判決を支持する判断を下している。

 マイクロソフトのオンラインストアでは現在、Office Ultimate 2007のフルバージョンは引き続き679ドル95セントで販売されているが、アップグレード版は「入手不能」となっている。

 Microsoft Office製品開発グループの公式ブログであるMicrosoft Office 2010 Engineeringブログにも、Microsoft Word製品チームの公式ブログであるMicrosoft Word 2010ブログにも、現在の状況に関する最新の説明は掲載されていない。

 マイクロソフトは1月9日、ダウンロードセンターにMicrosoft Office Word 2003向けの5.7MBのパッチを公開し、次のように説明している。「当社から別途連絡を受けた顧客の皆様には、このアップデートをインストールしていただく必要があります。このアップデートはカスタムXMLタギングのある特定の実装に影響を及ぼします」

 その3日前の1月6日には、マイクロソフトはWord 2007についても同様のコメントを掲載し、次のように説明していた。「米国およびその領土内で使用するために2010年1月10日以降当社からWord 2007を購入またはライセンス契約する顧客の皆様には、ある特定のカスタムXMLタギングの実装を含まないアップデート版をご使用いただく必要があります」

 連邦巡回控訴裁が地裁の判決を支持したことを受けて、マイクロソフトの広報担当者ケビン・カッツ氏は12月22日付の文書でReutersに次のように語っていた。「当社はこの差し止め命令をめぐる問題に対処すべく、迅速に行動している。われわれは連邦巡回控訴裁大法廷での再審理の請求や米連邦最高裁への上訴も含め、いくつか法的な選択肢も検討中だ」

 今のままではマイクロソフトは3億ドル近くの賠償金を支払わなければならないが、同社としてはそれは回避したいところだろう。

原文へのリンク

(eWEEK Nicholas Kolakowski)

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