VMware ESX対応で企業ニーズも狙う

AppLogic、買収後初のバージョンを日本CAが国内投入

2011/08/23

 日本CAは8月23日、「CA AppLogic 3.0」日本語版を出荷開始したと発表した。AppLogicは米3Teraが開発したクラウド構築・運用ソフトウェアだが、米CAが2月に3Teraを買収。AppLogic 3.0は買収後初のバージョンとなる。VMware ESXサポートや日本語対応などが、新バージョンの特徴だ。

 AppLogicはIaaSとPaaSの中間のようなクラウドを作れるソフトウェア。VMware vSphere/vCloud Directorよりも、クラウドの利用や管理の抽象度が高い。

 AppLogicでは、ハードディスクドライブ(HDD)を内蔵したコンピュータ(サーバ)を束ねて、仮想ITリソースを構成する。共有ストレージは使わない(従って、内蔵HDDに格納できない量のデータを、1ボリュームに保持できない)。AppLogicの利用者は、Microsoft VISIOのようなインターフェイスを持つセルフサービスデザインツール上に、Webサーバやデータベース、NAS、ファイアウォール、ロードバランサなどの「部品」のアイコンをドラッグ&ドロップし、これらの間に線を描画することで、システムを構成していくことができる。IPアドレスをはじめとする設定は、1つ1つのアイコンに対するプロパティ設定として行える。システムの構成に際して、利用者は物理サーバをまったく意識しない。

applogic01.jpg デザインツールで、ロードバランサを2台の仮想Webサーバと接続したところ

 各部品の実体は、それぞれが仮想マシン(仮想アプライアンス)のテンプレートだ。システムの構築時に、構成部品となっている仮想マシンが、物理サーバ上に自動的に作成される。どの物理サーバにどの仮想マシンを作成して動かすかは、AppLogicに判断させることができる(利用できる物理サーバに、ラウンドロビンで配置する、あるいは物理サーバ1台1台に可能な限り詰め込んでいく、といった運用も可能)。仮想アプライアンスのデータはデフォルトで、他の物理サーバへ常時ミラーリングされる。ある物理サーバがダウンした場合には、ミラーされた仮想アプライアンスデータで再起動が行える。

 データベースやファイアウォールなど、部品として使えるソフトウェアは、AppLogicに多数用意されている。すべてオープンソースソフトウェアを仮想マシンとして構成したものだ。

 複数の仮想アプライアンスを用いて構築した「システム」は、これを単位として管理できる。例えばシステムを選択して起動コマンドを発行すれば、これを構成するすべての仮想アプライアンスを一括で立ち上げることができる。また、システム全体を一括で(他のデータセンターに)コピーする操作も可能だ。

新バージョンは何が変わったか

 AppLogicは、これまでハイパーバイザとしてオープンソースXenのみに対応してきたが、新バージョンではVMware ESXにも対応した。2つのハイパーバイザを併用し、各仮想アプライアンスをどちらのハイパーバイザ上で動かすかを指定できるという。日本CAの説明によると、これにはVMware vSphereのライセンスが必要という。同社では、VMware FSXのサポートにより、サービス事業者に加えて大企業にも使いやすくなったとしている。

 また、仮想マシンインポートでOVF(Open Virtualization Format)に対応。タグVLANにも新たに対応し、テナント間の分離がしやすくなった。さらに、「Global Fabric Controller」という新たな管理ツールで、AppLogicが「グリッド」と呼ぶ仮想インフラの管理が可能。例えばグリッドに対する物理サーバの追加や、仮想アプライアンスのソフトウェアのアップデートなどを、複数のグリッドに対し単一のGUIから実行できる。AppLogicの操作権限をユーザーグループごとに制限できる機能も新たに搭載した。

 CA AppLogic 3.0は、これまでどおりネットワンシステムズが販売する。価格は25ソケットで394万円から。

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(@IT 三木泉)

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