[Analysis]

HPの広告戦略はデルがターゲット

2003/01/15

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 日本ヒューレット・パッカードが大規模な広告展開を始めている。HPはエントリ、ミドルレベルのIAサーバで低価格戦略に方針を転換。価格を最大で37%値下げして、急成長するデルコンピュータに真っ向勝負を挑んだのだ。コモディティ化するIAサーバでは価格が最も重視されると判断。その価格をアピールするために広告を強化している。

 HPは1月14日の主要全国紙に「サーバ新価格」の広告を打った。これ以降も同社は新聞やWebでの広告を積極的に展開する方針だ。中小規模企業の経営者や大規模企業の部門担当者に対して、HPの認知度を高め、低価格をアピールする。HPはテレビCMも積極的に展開し、1月度だけで合計2億円の広告費を使うという。

 この派手な広告展開もデル対抗と取れるだろう。デルもIAサーバやPCなどの価格を掲載した新聞や雑誌、Web広告を積極展開し、エンドユーザーの間での認知度を高めてきた。

 HPの低価格戦略は、グローバルでの部材の購入費用などを圧縮できるようになるなど、合併効果が出始めたことで可能になった。しかし、HPの低価格戦略に対してデルが黙っているとは思えない。場合によっては対抗的な値下げもあるだろう。HPはデルとのチキンレースに突入したともいえる。だが、見方を変えればHPにとっては、このチキンレースも広告になる。競争を仕掛けることで注目を集めようという戦略だ。

 HPは一方で、ハイエンドサーバやサービスの分野で、IBMをライバル視している。ライバル企業を設定することは合併したばかりの社内で共通の目標ができ、社内融和につながるとの読みだろうか。HPの低価格戦略がどのような結果を生むのか。HPの思惑どおりになるのかに注目したい。

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