[基礎解説]

「第3世代Coreプロセッサ・ファミリ」はどこが進化したのか

1.第3世代Coreプロセッサ・ファミリの機能変更点

デジタルアドバンテージ 小林 章彦
2012/04/26
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 インテルの主力製品となるデスクトップ/ノートPC向けプロセッサ「インテルCoreプロセッサ・ファミリ」に開発コード名「Ivy Bridge(アイビー・ブリッジ)」で呼ばれていた22nmプロセス製造による「第3世代インテルCoreプロセッサ・ファミリ」が追加となった。やっと開発コード名「Sandy Bridge(サンディ・ブリッジ)」で呼ばれていた第2世代インテルCoreプロセッサ・ファミリが定着したと思ったところで、モデルチェンジとなってしまった。

第3世代Core i7のパッケージ写真

 これは、インテルがTick-Tock(チックタック)モデルと呼ばれる開発サイクルを採用しているためだ。Tick(チック)の年に製造プロセスを微細化し、翌年のTock(タック)の年でマイクロアーキテクチャを刷新、翌々年には再びTickの年となり製造プロセスを微細化するといった具合に、メインストリームのプロセッサについては毎年製品が更新されるモデルである。

インテルのTick-Tockモデル
Ivy Bridgeは、Tick-TockモデルのTickに該当し、製造プロセスが刷新される。なおTockでは、マイクロアーキテクチャが刷新され、機能面での大幅な変更が行われる(Intelのプレゼンテーション資料より)。

 製造プロセスを微細化することで、同じデザインのプロセッサならば面積を小さくできる(コピー機でA3判をA4判に縮小コピーするように、トランジスタの大きさや配線の幅を縮小する)。これにより、1枚のウエハから製造できるプロセッサの個数を増やすことができ、製造コストを大幅に引き下げることが可能になる。Sandy BridgeからIvy Bridgeでは、32nmプロセスから22nmプロセスへの微細化に加え、新たに3次元構造の新型トランジスタ「Tri-Gate型トランジスタ」を採用し、リーク電流(本来のトランジスタの動作とは無関係に流れてしまう電流)の大幅な低減を実現しているという(Tri-Gate型トランジスタについては、「頭脳放談:第132回 『ムーアの法則』の延命を可能にする3次元トランジスタとは」を参照のこと)。インテルによれば、「Tri-Gate型トランジスタにより、37%のトランジスタのスイッチング性能の向上または同等性能における消費電力の半減」が可能としている。

 マイクロアーキテクチャの刷新では、実行ユニットやキャッシュ・システムを改良したり、新しい機能を追加したりすることで、デザイン変更による性能向上が実現する。Ivy Bridgeでは、Sandy Bridgeのマイクロアーキテクチャを継承しているため、プロセッサ・コア自体に大きなデザイン変更は行われていない。

Ivy Bridgeのブロック図
トランジスタ数は14億個、ダイ・サイズは160平方mm。なおSandy Bridgeのトランジスタ数は11.6億個、ダイ・サイズは216平方mmなので、トランジスタ数は若干増え、ダイ・サイズは約74%に縮小されたことになる(Intelのプレゼンテーション資料より)。

 それでも、最適化などを行うことで、同じ動作クロックならば10%程度の性能向上を実現しているという。

Sandy BridgeとIvy Bridgeの性能比較(SYSmark 2012)
Core i7-2700K(Sandy Bridge:3.5GHz、4コア/8スレッド、8Mbytes 3次キャッシュ)とCore i7-3770K(Ivy Bridge:3.5GHz、4コア/8スレッド、8Mbytes 3次キャッシュ)のベンチマーク・テスト(SYSmark 2012)の結果。Ivy Bridgeでは3%から9%ほど性能が向上していることが分かる(Intelのプレゼンテーション資料より)。

Ivy Bridgeではグラフィックス機能を強化

 前述のとおりIvy BridgeのマイクロアーキテクチャはSandy Bridgeから変更はなく、プロセッサ・コア自体のデザイン変更は行われていない。しかし統合されているグラフィックス・コアは実行ユニット数が増やされるなど、性能が向上している。具体的な実行ユニット数としては、Sandy BridgeのHD Graphics 2000では6基、HD Graphics 3000では12基なのに対し、Ivy BridgeのHD Graphics 2500では8基、HD Graphics 4000では16基となっている。これによってDirectX 11のサポートが可能になり、従来より1.4倍から2倍程度の性能向上を実現しているという。

Sandy BridgeとIvy Bridgeの性能比較(Media Transcoding)
Core i7-2700K(Sandy Bridge:3.5GHz、4コア/8スレッド、8Mbytes 3次キャッシュ)とCore i7-3770K(Ivy Bridge:3.5GHz、4コア/8スレッド、8Mbytes 3次キャッシュ)のベンチマーク・テスト(ArcSof Media Converter/CyberLink Media Espresso)の結果。Ivy Bridgeでは1.43倍(ArcSof Media Converter)/1.92倍(CyberLink Media Espresso)の性能向上が実現している(Intelのプレゼンテーション資料より)。

Ivy Bridgeがサポートする新たな機能

 Ivy Bridgeのプロセッサ・コアは、基本的にはSandy Bridgeの縮小版であり、最適化は行われているものの、機能的な拡張はほとんどない。ほとんどと述べたのは、新たに「Intel Secure Key」と「Intel OS Guard」という2つの機能をサポートしたからだ(Core i3はIntel Secure Keyをサポートしない)。Intel Secure Keyは高速なデジタル乱数発生器で、暗号化処理などの高速化に寄与する。Intel OS Guardは「Supervisory Mode Execution Protection(SMPE)」とも呼ばれるもので、ユーザー・モードで動作すべきコードが、より高い権限で実行されないようにハードウェア・レベルで保護するというものだ。

 ただ、どちらの機能もユーザーが直接、機能の追加を実感できるようなものではなさそうだ(Intel Secure Keyについては、暗号処理などの多少の高速化が期待できるが、ソフトウェア側での対応が必要となる)。

 次ページでは、2012年4月24日に発表された第3世代Coreプロセッサ・ファミリの具体的な製品について見ていこう。


 INDEX
  [基礎解説]「第3世代Coreプロセッサ・ファミリ」はどこが進化したのか
  1.第3世代Coreプロセッサ・ファミリの機能変更点
    2.Ivy Bridgeの製品ラインアップ

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