企業価値向上を支援する財務戦略メディア

連載:アプリケーションベンダが語るIFRS(3)

SAPジャパン「IFRSは経営の問題だ」

垣内郁栄
IFRS 国際会計基準フォーラム
2010/2/5

大企業向けERP最大手のSAPジャパンがIFRSへの取り組みを加速させている。2009年秋以降にイベントを立て続けに開催。社内体制も整えた。「IFRSは経営の問題」と考えるSAPジャパンは顧客企業をどう支援するのか

1 2次のページ

PR

 大企業向けERP最大手のSAPジャパンにとってIFRSは追い風の1つだ。顧客企業の多くが上場企業であり、グローバル展開している。IFRS適用に向けてERPや連結システムでの対応が求められる企業が多いと考えられる。SAPは2009年秋から相次ぎ、大規模なIFRS関連のイベントを開催してきた。その中で伝えられたメッセージはインタビューでもあるように「IFRSは経営の問題」ということだ。同社は顧客企業をどう支援するのか。SAPジャパンのバイスプレジデント ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部 副本部長 桐井健之氏、ソリューション本部 エンタープライズマネジメントFCM マネージャーの多川健太郎氏に聞いた。

「アプリケーションベンダが語るIFRS」連載インデックス
第3回 SAPジャパン「IFRSは経営の問題だ」

 

――SAPのユーザーが今後IFRS対応をするうえで、どのように考え、どのように対応するのがいいでしょうか?

桐井氏 IFRSは経営の問題と思っています。制度対応であればいま何かをする必要はありませんが、経営管理の問題であれば、日本の企業が本当の意味でグローバルスタンダードにコミットできるのか、コミットできないのかを考える必要があります。いままでは生産拠点を海外に持ったり、海外企業と取り引きを行うなどしてきた企業が多いですが、本当の意味で経営のマネジメントモデルをグローバルスタンダードに合わせてきたかというとそうではなかったのではないでしょうか。

SAPジャパン バイスプレジデントの桐井健之氏

 例えば、米国企業であれば子会社や海外の現地法人も米国会計基準に統一するオペレーションをすでに行っています。経営評価のための財務情報のものさしが単一になっているのです。欧州も2005年の強制適用以来、この4〜5年でグループ内の会計基準を統一してきました。

 欧州の企業もすでにグローバル企業では海外も含めて1つのアカウンティングルールでビジネスをモニタリングできるようにしています。日本は制度対応の前に、共通化された経営情報を前提にしたグループ連結経営管理モデルを採るのか、あるいは、いくつもあるグループ内の各社の裁量や仕組みを残し、業務やシステムの標準化、統一化を避けて通るのかの決断を迫られています。

 当然、SAPとしては本当の意味での経営モデルの高度化をご支援したいと思っています。ご支援しようとすると単純に連結レポーティングだけでなく、総勘定元帳やその前の販売管理や受発注の業務システムも含めて考えを統一していく必要があると思います。IFRSを経営管理の問題として考えていただくと、SAPはそれを一気通貫でサポートできる数少ないベンダの1つです。これがSAPの基本的な立ち位置です。

――経営者は経営の問題であるというIFRSの本質を理解していますか。単なる制度対応を思っているのではないでしょうか。

桐井氏 IFRSの本質を経営者の皆様が知らない可能性はありますが、分かっていないというのは経営者層にきちんと伝わっていないからです。単純に「工事進行基準がどう変わった」などという話と区別ができなくなっている方が多いのではないでしょうか。日本の経営者の方は、営業や技術者出身の方が多い。そのため、周りのスタッフの方々がIFRSの本質をきちんと伝える努力が必要だと思います。

1 2次のページ

@IT Sepcial

IFRSフォーラム メールマガジン

RSSフィード

イベントカレンダーランキング

@IT イベントカレンダーへ

利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | サイトマップ | お問い合わせ
運営会社 | 採用情報 | IR情報

ITmediaITmedia NewsプロモバITmedia エンタープライズITmedia エグゼクティブTechTargetジャパン
LifeStylePC USERMobileShopping
@IT@IT MONOist@IT自分戦略研究所
Business Media 誠誠 Biz.ID