携帯電話で救急連絡、BREW活用し現在地の通知可能に

2003/3/28

KDDIの代表取締役社長 小野寺正氏

 KDDIは、同社の第3世代携帯電話に導入したアプリケーション・プラットフォーム「BREW」を、インターカルテが運営する会員制の24時間緊急医療サービス「インターカルテER」に提供したと発表した。急病など緊急時にBREW携帯電話を使うことで、簡単にコールセンターに連絡し、必要な手続きができるという。KDDIの代表取締役社長 小野寺正氏は、「緊急医療サービスでBREWを利用してもらえることは、通信事業者として誇りを感じる。今後の法人市場でのBREWの本格採用に自信を持てる」と述べた。

 BREWは米クアルコムが開発した技術。携帯電話内で直接バイナリ・プログラムが実行できるのが特徴で、携帯電話で一般的なJavaに比べて、高速、高機能なアプリケーションが利用できるという。携帯電話の発信や電話帳データへのアクセス、電源の管理などコアに近い部分までコントロールできる。

 インターカルテERは、会員が急病になった際に、BREW携帯電話の決められたボタンを会員が長押しするだけで、GPS衛星で捕捉した現在地がインターカルテのコールセンターに通知され、オペレーターと通話できるサービス。緊急時でも瞬時に連絡を取り、自分の場所をオペレーターに伝えることができる。

 緊急連絡を受けたオペレーターは、電話連絡と連動する会員の電子カルテを参照して、会員の担当医や救命医に連絡する。会員とオペレーター、医師の3者通話をサポートし、必要な初期治療や病院、医師の手配が可能となっている。

 KDDIはBREWを使ったソリューション事業を拡大する考え。営業担当者向けや医療関係、運行・集配管理などに利用されることを想定している。今回のシステムはインターカルテ側が構築したが、KDDIでも日本IBMと共同してソリューションを開発している。KDDIのソリューション事業本部 ソリューション技術本部 プラットフォーム技術1部長 田中孝司氏は、「BREWの開始で携帯電話を使った業務の効率化が可能になった」と述べた。法人市場はNTTドコモなどほかの携帯電話会社も開拓を目指している。KDDIの成功は、BREWのメリットをどこまで訴えることができるかにかかっているだろう。

(垣内郁栄)

[関連リンク]
KDDI
インターカルテ

[関連記事]
「法人は大きな市場になる」、KDDIがBREW開発でIBMと提携 (@ITNews)
インターネット遠隔医療、その最前線を追う (@ITNews)
ドコモの失敗から多くを学んだJ-フォンの3G携帯サービス (@ITNews)
動画メールでドコモとJ-フォンを突き放しにかかるKDDI (@ITNews)
[ガートナー特別寄稿] 携帯電話のJavaサービスはゲームにしか使えないのか? (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)