新SPARC64搭載の富士通サーバをサンはどう見る?

2004/6/23

 富士通は新開発したプロセッサ「SPARC64 V」を搭載した新UNIXサーバ「PRIMEPOWER」の販売を開始すると6月22日に発表した。富士通はサン・マイクロシステムズと2006年にもUNIXサーバを統合する予定だが、富士通の経営執行役常務 伊東千秋氏は新サーバについて「サンが販売する対象になる」と述べたうえで、「サンのビジネスに貢献したい」と語り、サーバ開発、販売活動で共同歩調をとっていくことを強調した。

富士通が発表した新UNIXサーバ「PRIMEPOWER 2500」

 発表したのはSPARC64 V 1.82GHzを最大128CPU搭載できる「PRIMEPOWER 2500」と、SPARC64 V 1.89GHzを最大32CPU搭載できる「同 1500」、最大16CPU搭載する「同 900」、900の搭載メモリを4GBから2GBに変更した「同 850」、最大8CPU搭載できる「同 650」の5製品。PRIMEPOWER 2500を8CPU構成で利用する場合の価格は1億5325万円。650と850は8月から出荷。900と1500は9月、2500は11月に出荷開始する。

 富士通が独自開発した新SPARC64 Vは90ナノプロセスで製造された初めてUNIX向けプロセッサ。高スループットを目指して開発され、従来型のSPARC64 V 1.35GHzと比較して、オンチップのL2キャッシュを2MBから3MBに強化した。ミッションクリティカルでの業務を想定し、プロセッサ自体にエラー検出、自己修復の機能や、キャッシュメモリのデータ保護、命令リトライなどの機能を搭載した。富士通のサーバシステム事業本部 本部長 山中明氏は、新SPARC64 Vについて「メインフレーム技術を採用することで高信頼性と世界最高性能を達成した」と述べた。

富士通のサーバシステム事業本部 本部長 山中明氏。手にしているのが新開発の「SPARC64 V」のチップ

 富士通は今後もSPARC64プロセッサの開発を続け、2005年にはSPARC64 V 2.16GHz、2006年にはデュアルコアプロセッサのSPARC64 VI 2.40GHzを出荷する見通し。サンと共同開発している新サーバ「APL」(Advanced Product Line)はデュアルコアのSPARC64 VI 2.40GHzが搭載されるとみられる。伊東氏は「プロセッサ開発はリスクが高い。サンもプロセッサを開発しているが、その時々で両社のよい製品をサーバに採用すれば、リスクを少なくできる」と述べた。

 富士通は新サーバを国内のほかに欧州では富士通・シーメンス・コンピューターズを通じて、北米では富士通コンピュータ・システムズを通じて販売する。2004年度にはPRIMEPOWER全体で国内が8000台弱、海外で9500台を販売することが目標で、2003年度と比較して国内で10%程度、海外で46%の出荷増を見込む。特に北米では60%の出荷増を見込んでいる。今後2年間では、世界で3万6000台を出荷することが目標。

(編集局 垣内郁栄)

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富士通の発表資料

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