ノキアとエンタープライズ・モビリティの可能性

2004/7/2

ノキア・コーポレーション エンタープライズ・ソリューションズ 上級副社長兼ジェネラル・マネージャのメアリー・T・マクドウェル氏

 ノキア・コーポレーション エンタープライズ・ソリューションズ 上級副社長兼ジェネラル・マネージャのメアリー・T・マクドウェル(Mary T. McDowell)氏は7月1日、都内で記者会見を行い、同社が推進するエンタープライズ市場向け「ビジネス・モビリティ」戦略の概要を発表した。マクドウェル氏は「規模の大小、経営方針、地理的条件に関係なく、今後あらゆる企業はモビリティの恩恵を受けるようになる」と“予言”する。

 ノキアはこれまでエンタープライズ市場向けに携帯端末、ネットワーク接続機器、セキュリティ製品群を提供してきた。これらの製品群にはモバイル端末と固定機器を統合し、企業向けに最適化したリモート・アクセス・ゲートウェイなども含まれる。同社の長期的な戦略はエンタープライズ市場において、モバイル・ソリューションを提供するトップベンダとなることである。「携帯端末からインフラ領域まで包含するネットワーク技術を持つのはノキアだけ」とマクドウェル氏がいうように、同社は、音声携帯端末の世界的な成功を背景に、アプリケーションのモバイル化、コスト効率を追求したモバイル音声通信の実現、セキュアなモバイル接続の技術開発に力を入れており、同市場で競合するであろう、シスコシステムズやジュニパー・ネットワークスをけん制する。

 エンタープライズのモバイル戦略を展開していくうえで想定される課題としては「セキュリティと認証」「拡張ネットワークのセキュア化」「クライアントvsクライアントレス」「機器の多様化」「複数の無線システム方式の混在」などが挙げられる。これらの課題に対し、「ノキアのモバイルに対する経験や製品ラインアップは十分対応可能」であることをマクドウェル氏は強調した。
 
 SSL VPNのニーズの高まりはノキアがエンタープライズ市場に名乗りを上げる大きな契機となっている。確かに、モバイル・デバイスでVPNに接続するケースが一般化することで、携帯端末に一日の長を持つ同社の技術が活かされる可能性は高い。問題は、今後VPNに接続する大きくデバイスがどの程度小型化していくかにある。現状では、ノートパソコンがその主流なのはいうまでもない。また、第3世代携帯電話の普及が加速している点も、同社にとってはエンタープライズ市場向けの戦略を推進していくうえで追い風になる。同社はボーダフォンにW-CDMAネットワークのインフラを納入しているベンダの1社である。

(編集局 谷古宇浩司)

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