新薬開発を支援するNECの分子動力学計算サーバ

2005/11/30

 NECは11月29日、分子動力学(MD:Molecular Dynamics)計算専用ハードウェア「MDエンジン」を搭載したサーバ「Express5800/MD Server」を発表した。同社は2004年に富士ゼロックスからMDエンジンを継承し、独自のLSI技術を適用しながらサーバへの実装を進めてきた。

NEC 執行役員 國尾武光氏

 現在、新薬の開発現場では、特定のたんぱく質に作用する医薬品候補物質を実験的にスクリーニングしていく方法に替わり、コンピュータシミュレーションによって探索するin silico(イン・シリコ)創薬技術と、その中核技術の1つである分子動力学シミュレーションが注目されている。ただし、分子の構造や機能を予測し、医薬品候補化合物との結合の強さを見積もるには数日から数カ月の計算時間がかかる。このため、分子動力学シミュレーションは基礎研究レベルの利用に用途が限定されていた。

 NECでは、分子動力学シミュレーションで計算の大部分を占めるクーロン力、分子間力などの非結合力計算を高速に処理する計算専用ボードを実装することで、シミュレーション時間を大幅に短縮し、PCサーバ1台を用いたMD計算と比較して「約340倍の高速化を実現した」(同社)。

 最小構成価格(MD Serverとクライアント)は340万円。3年間で1500システム、約300サイトの販売を見込んでいる。1500システムのうち、1000台を国内、500台をドイツを中心としたヨーロッパ市場で販売していく見込み。

(@IT 谷古宇浩司)

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NECの発表資料

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