個人の無線LANに相乗り、「FON」が日本で本格展開へ

2006/4/12

 スペインの新興企業FONは4月11日、日本法人を5月に立ち上げ、個人の無線LANを他人に開放、共有するサービス「FON」の有料版を、7月にも国内で開始する方針を明らかにした。

 FONは、個人が家庭などで所有し、使用している無線LANのルータに専用ソフトをインストールし、ほかのユーザーからも利用可能にするサービス。FONユーザーは他人の無線LANルータを使えるようになる。個人の無線LANルータを公衆無線LANのアクセスポイントにするともいえる。

 FONはブログなど口コミでユーザーを増やし、ユーザー数は2006年4月で2万9000人以上。その半数が無線LANのアクセスポイントを開放しているという。FONは2006年末までに世界最大の無線LANコミュニティになり、2010年までに先進国すべてをカバーしたいとする。日本では20万人のユーザー数を目標にする。日本法人は当面、FONの100%子会社の予定。

FON創設者兼CEO マーティン・バーサフスキ氏

 Foneroと呼ぶFONのユーザーは3種。1つ目は「Linus」。自身の無線LANアクセスポイントを無料で開放し、他のユーザーに使わせるユーザー。その代わりに、LinusはほかのFONユーザーのアクセスポイントを無料で利用できる。「東京でFoneroになると、アメリカへ行ってもヨーロッパに行ってもFONを利用できる」(FON創設者兼CEO マーティン・バーサフスキ[Martin Varsavsky]氏)

 2つ目は「Bills」。自身の無線LANアクセスポイントを有償で提供し、ユーザーから収益を得る。その代わり、自らが他のFONユーザーのアクセスポイントを利用するには料金を支払う。3つ目は「Aliens」。自身で無線LANアクセスポイントの開放を行わずに、料金を支払って「Bills」のFONネットワークを利用する。

 FONは現在、「Linus」のみサービスを提供しているが、ヨーロッパでは6月から、日本でも早ければ7月にも「Bills」「Aliens」のサービス開始を目指すという。国内では無線LAN対応ゲームデバイスでの利用も期待している。

FONのアドバイザリーボードメンバーで、デジタルガレージ顧問の伊藤穣一氏。FONは、FON非対応のルータに取り付けて、FONを利用できるようにするブリッジ機器も7月にも提供する予定。「3000円くらいで出せる」(伊藤氏)

 「Bills」「Aliens」が支払う料金は1日当たり200円程度を想定している。Billsはそのうち50%が支払われる。既存ISPとの競合も懸念されるが、FONのアドバイザリーボードのメンバーで、デジタルガレージ顧問の伊藤穣一氏は「ISPを敵に回すつもりはない」とし、「提携したプロバイダには収益の一部を渡すので、競合になるサービスではなく、プロバイダにとっても利点がある」と語る。

 FONを利用するには、ルータにFONソフトウェアをインストールし、ユーザー登録をする必要がある。現在、FONソフトウェアをインストールできるのは、Linksys製やバッファロー製のルータの一部のみ。また、ルータのファームウェアを書き換えるにはネットワークの知識が必要なため、FONはソフトウェアをプリインストールしたルータを今後、発売していく計画だという。

 セキュリティに関しては、ファイアウォールや個人認証などを設け、公開部分とプライベート部分を分ける仕組みを提供しているという。また「FONは基本的に、ミッションクリティカルな用途に使うサービスではないと考えている」(バーサフスキ氏)といい、高度な品質保証はできないとの考えを示した。

(@IT  千葉大輔)

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