ジュニパーが考える、パートナーと日本戦略とは?

2006/5/25

 連日の猛暑が続くタイの首都バンコクで開かれているジュニパーネットワークスのイベント「Carrier Partnaer Summit」にて、ジュニパーネットワークス フィールドオペレーション担当上席副社長 エディ・ミンシャル(Eddie Minshull)氏と、同 アジア太平洋地域担当CTO マット・コロン(Matt Kolon)氏に話を聞いた。

■ 認知度の低さをキャリアパートナーとの連携で解決する

ジュニパーネットワークス フィールドオペレーション担当上席副社長 エディ・ミンシャル氏

 エディ・ミンシャル氏は、ジュニパーネットワークスのフィールドオペレーション担当上席副社長として2000名のチームをまとめているという。ミンシャル氏は、ジュニパーの日本におけるポジションを「NTTという巨大キャリアと強い関係を持っているほか、産学連携では東京大学と良い関係を築いているなど、非常に友好な関係を築けている」と説明。特にキャリアパートナーとの関係は、「現在、当社がエンタープライズ市場へシフトしている点やキャリア自身のエンタープライズ志向もあり、キャリアが当社の顧客からパートナーに変化していっている」と語った。

 また、同氏は「大企業や大手パートナーはキャリアとビジネスがしたいという傾向がある」といった調査結果を例示し、キャリアパートナーの重要性を説いた。これに合わせて、同社ではキャリアパートナーの量を増やすことよりも、パートナー関係の質をよくすることを目指しているという。

 続いて、先日発表したキャリアパートナー向けの新しい支援プログラム「エンタープライズ・エンゲージメント・イニシアティブ」(EEI)を説明。EEIは、パートナーとジュニパーの投資の最適化を目指す「チーム協力」と、パートナーと協力しつつカバレッジを広げる「マーケットカバレージ」、教育や販促分野への投資を増やす「パートナー開発」で構成される。

 キャリアパートナー向け支援プログラムの一環としては、社内人材への投資にも力を入れるという。例えば、2006年第1四半期からはキャリアパートナーを管理する専任の人員を配置し、支援体制を充実させた。こういった取り組みの背景には「ジュニパーの認知度の低さが最大の課題だ」(ミンシャル氏)といった問題が控えている。

 ジュニパーは、競合他社と比較して特にエンタープライズ市場での認知度が低いのが現状。それを踏まえて同社では、大手顧客や金融、官公庁などに強いキャリアとのパートナーシップを強化することで、大手企業や官公庁における同社のプレゼンスを高めたいと考えている。ミンシャル氏は、最後に今後の取り組みとして「キャリア経由のバンドル製品の販売など、他社とは違う方法を用いて認知度の向上に努めたい」と語った。

■ 部下の30%が日本特有の問題解決を目指している〜コロン氏

ジュニパーネットワークス アジア太平洋地域担当CTO マット・コロン氏

 マット・コロン氏は、5月25日にアジア太平洋地域担当CTOに就任したばかり。同氏には、ジュニパーネットワークスの太平洋地域における技術的戦略などを聞いた。コロン氏は自分の役割に「ユーザーの要件に合うようにすること」と「パートナー達にメリットを理解してもらうこと」の2点を挙げた。

 同氏は、1点目のユーザー要件への適応力は同社の最大の強みでもあるという。同社は、アジア地域では中国・北京とインドに開発拠点を持ち、問題に応じて作業を分担し、開発を行っている。この開発力こそ、他社との差別化要因でもあり、各国の細かい問題にまで対応できる同社最大の強みだとした。

 この点は2点目の「パートナーにメリットを理解してもらうこと」にも通じる。コロン氏は、「パートナーにとって最も重要であることを選択し、提供することを心掛けている。また、ユーザーの持つ諸問題を解決できるのも、パートナーのメリットといえるだろう」と説明した。

 コロン氏は同社の技術力を表わす例として、SSGシリーズを挙げた。SSGシリーズはファイアウォール、IPSec VPN、IPSの機能を1つにまとめた統合セキュリティルータ。同氏は、「ルータとして高機能なもの、セキュリティ機器として高機能なもの、ルータとして高機能でありつつ、多少のセキュリティ機能も有しているものくらいまではいままでも存在した。しかし、高機能ルータと高機能セキュリティアプライアンスの両方の機能を両立させたのは当社が初めてだろう。さらに、機能を付けただけではなく、高いスループットを実現するためにも苦労した」と開発秘話を説明。このような技術力が他社との差別化要因となっているという。

 また、同氏は「アジアは明らかにブロードバンド先進国であり、日本や韓国が開発のけん引力になっている」と分析する。そのため、日本特有の問題の解決にも注力しており、かなりのリソースを割いているという。具体的には「例えば、私の部下の30%が日本特有の問題の解決に携わっている。日本特有の問題を解決できる点も当社のウリの1つだ」(コロン氏)といった例を挙げた。

 最後に同氏は、「確かに当社の技術力は他社との差別化要因ではあるが、方針は技術指向ではなく、あくまでも顧客指向である」と強調した。

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ジュニパーネットワークス

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