XMLの処理を10倍以上に高速化、「これから需要が高まる」

2006/9/15

日本IBM ソフトウェア事業 WebSphere事業部長の山下晶夫氏

 日本IBMは9月14日、「IBM WebSphere Datapower SOA アプライアンス」を出荷すると発表した。「XA35 XML Accelerator」と「XS40 XML Security Gateway」「XI50 Integration Appliance」の3つの製品がある。これらの製品は米IBMが2005年10月に買収したデータパワー社が開発した。Webサーバ内で行われているXMLの変換処理や暗号化処理を外部に取り出して高速化する。

 日本国内では、東京エレクトロンが販売代理店として営業していたが、XMLデータの普及が米国ほど進んでいないという状況がマイナス要因となって、企業システムにおける本格的な導入はなかなか実現しなかった。「2〜3年後には確実に(同製品の)需要が増えるはず。本社の買収の意図もそこにある」と日本IBM ソフトウェア事業 WebSphere事業部長の山下晶夫氏はいう。

 金融業、製造業、流通業など、EDIやVANを通じて企業間取引を行っている業界を中心に営業する。これらの業界では、企業間の電子取引に関する標準規格がXMLを採用しているという現状から、今後XMLデータの処理を高速化する製品の需要が拡大すると同社は予測する。

 「IBM WebSphere Datapower SOA アプライアンス」の特長は、WebサーバからXML処理をオフロードし、システム全体のパフォーマンスを向上させる点にある。つまり、暗号解読やデータの妥当性検証、フォーマット変換、最暗号化といった処理をサーバから切り離し、専用の機器内で処理することで、大量のデータが発生するXMLの処理の問題を解決するのである。処理速度は10倍以上に高まるというのが謳(うた)い文句だ。

 XMLアクセラレータとしての「IBM WebSphere Datapower SOA アプライアンス」の基本性能は、「Webサービス/XMLプロキシ、セキュリティゲートウェイ、ESB、レガシー・インテグレーションといった用途に応用できる」と同社 WebSphere事業部 テクニカルセールス 上野亜紀子氏)がいうように、同社はSOAという新しい切り口で顧客に提案していく。

(@IT 谷古宇浩司)

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