CDP製品も国内で本格展開へ

EMCがビジネス拡大目指し新製品を一挙投入

2006/11/09

 EMCジャパンは11月9日、同社の事業活動の状況を説明するとともに、多数の新製品を発表した。

emc01.jpg EMCジャパン 代表取締役社長 ナイハイゼル・エドワード氏

 同社代表取締役社長 ナイハイゼル・エドワード(Neiheisel Edward)氏は、2006年第3四半期における米EMCの売り上げが前年同期比19%増の28.2億ドルに達したことを報告。ソフトウェアはその38%に当たる10.8億ドルに達し、ソフトウェア事業だけをとっても大手ベンダになったと説明した。

 EMCジャパンの事業体制については、市場に対する同社のカバー率を向上させるために「パートナー・フレンドリー」な企業への取り組みを進めていると強調する。

 同社の売り上げにおける間接販売比率は約60%だが、従来は間接販売を担当する営業人員は全体の15%程度だった。同社では2006年10月に人員配置を見直し、間接販売担当を営業人員全体の約60%に増やしたという。これにより、パートナーの営業活動支援の強化やパートナーに対するトレーニングの拡充を図る。

 また、EMCジャパンは国内における技術サポートレベルを上げるため「グローバル・テクニカル・サポート・センタ」を国内に設立。2007年初めまでにはソースコードの解析を含めた機能を持ち、R&Dの前段として技術サポート活動をすべて国内で完結できるようにするという。「これで国内ベンダのサポートに近いサポートを提供できる」(エドワード氏)。

 9日発表の新製品における最大の目玉は継続的データ保護(CDP)ソフトウェアの「RecoverPoint」。同社のアプライアンスとして、さらにシスコシステムズのスイッチ「MDS 9000」上で動作するもので、複数のサーバやアプリケーション、ストレージのデータを対象とし、遠隔地への継続的な複製を行うことができる。

 CDP機能を実現する製品として、EMCジャパンはすでに「SRDF」「MirrorView」を提供しているが、これらを利用するには同一機種のストレージを対向で用いなければならず、さらに同期的なデータ転送を行うため安定的で高帯域の回線を必要とするなど高コストであり、リカバリ時間が長いという欠点もあった。新製品では適用環境が広いほか、差分転送による非同期的な複製を行う仕組みであるために回線コストを削減できる。

 同社のハイエンド・ストレージ「Symmetrix DMX-3」シリーズでは、拡張性を抑えて価格を下げたエントリレベルの製品「DMX-3 950」を発表した。「従来のSymmetrix DMX-3シリーズは定価で1億円以上。今回は5000万円を切る」と同社マーケティング兼パートナーアライアンス統括本部長 古谷幹則氏は話した。筐(きょう)体サイズが小さいことや消費電力を低く抑えられることもデータセンターなどで歓迎されるだろうという。

 ミッドレンジ・ストレージの「CLARiX」シリーズでは、「CX3-20 FC/iSCSI」「CX3-40 FC/iSCSI」を販売開始した。製品名称の通り、iSCSIインターフェイスを標準搭載し、ファイバチャネルと同時に利用できる製品。同社によると、ストレージへのデータ書き込み手法を工夫したことで、ディスクドライブの利用率が上がるとパフォーマンスが下がるというiSCSI利用における問題を克服。ネットワークアプライアンスの競合製品と比較すると、50%の利用率においてExchangeのデータ書き込みパフォーマンスが49%高いという。

 また、同社はNAS製品シリーズ「Celerra NS」で新世代製品を2つ投入した。「NS40/NS40G」は「NS500」、「NS80/NS80G」は「NS704」をそれぞれ引き継ぐ製品。どちらも前世代製品に比べてパフォーマンスが最大39%向上したという。

 EMCジャパンはまた、同社のディスクライブラリ・シリーズでパフォーマンスと容量を2倍以上向上しながら、価格を据え置いた新世代製品を販売開始した。

(@IT 三木泉)

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