トラブル増加前に「悪貨を駆逐する」

ネット上のポイント制度ルール整備へ向け協議会が発足

2007/02/14

 発行されたポイントが、サイト閉鎖とともに消失、実はそのサイトを運営していた企業は、別の子会社を通してサイトをオープンし、再びユーザーに対してポイントを発行し続けている――。インターネットのポイント市場が活性化するにつれ、サービス提供側と利用者側の双方で、さまざまな不正の可能性が顕在化している。こうした背景から、消費者利益の保護と企業の不正防止などを目的として、業界内でのポイント制度運用ルールの明確化や法整備を視野に入れた動きが出てきた。ショッピングサイトやケータイ向けサービスサイトなどでポイントを発行する主要13社は2月14日、「日本インターネットポイント協議会」を2月15日に設立すると発表した。

jipc01.jpg 各参加企業の代表

 同協会の会長に就任したネットマイル代表取締役の山本雅氏によれば、現在インターネットで発行されるポイントには3つの課題がある。1つは個人情報の保護。行動履歴データや提携企業間での情報交換時のデータの取り扱いについて、現状は明確なルールがない。2つ目の問題は、提携企業間で一定のレートで行っているポイント交換について、現状ではポイント交換のルールは完全に各企業に委ねられており、交換市場や交換ルールが決まっていないこと。

 3つ目の課題はポイントの信用維持の問題で、発行されたポイントを保証する制度が未整備であることや、会計時のポイントの割当方式が各社で異なっていることなどが、ポイントそのものの社会的信用を損ねると危惧されている。実態と乖離した引当金を計上し、利益操作を行う企業が出てくる可能性があるという。ネットマイル取締役の岡山俊明氏によれば、「実際に6カ月でポイントサイトが閉鎖し、その後別のサイトでポイントを提供していた企業もある。ただ、今はまだインターネット上のポイント市場の規模は比較的小さく、問題が起き始めているところ」だという。協会設立の背景には、すでに出始めている悪質なポイントサービスについてポイント市場から追放する狙いもある。

 協会では、諸外国に比べて立ち後れている法整備に向け、ポイント発行事業者が守るべきガイドラインを策定していく。今後は、そうした成果を随時発表し、関連省庁への提言も視野に入れた活動を行うとしている。協会発足時点での参加企業は、ネットマイル、ECナビ、エルゴ・ブレインズ、サイバーエージェント、GMOメディア、ジー・プラン、ツタヤオンライン、ディーツーコミュニケーションズ、ポイントオン、マイポイント・ドット・コム、リアラス、PeXの13社で、参加企業は随時受け付ける。

(@IT 西村賢)

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