業種別ソリューションを強化

夢見る人が設立した企業を買収、オラクルの成長戦略は

2007/02/27

 「オラクルは夢見る人々によって設立された企業を買収し、カスタマへのリーチを提供する」。米オラクルの日本アプリケーション・ビジネス担当 シニア・バイスプレジデント ディック・ウォルベン(Dick Wolven)氏は、同社が進めるアプリケーション事業の「成長と買収」戦略をこう説明する。オラクルが描く2010年の業務アプリケーション市場では「顧客が求めるものをどれだけ早く提供できるかが重要になっている」といい、その実現のために今後も買収を続けるという。

プリビルド環境を顧客に提供

oracle01.jpg 米オラクルの日本アプリケーション・ビジネス担当 シニア・バイスプレジデント ディック・ウォルベン氏

 オラクルは2004年以降、200億ドル以上を買収に投じてきた。特に業種別のソフトウェアを持つ企業の買収に積極的。「夢見る人々によって設立された企業」とはこのような業種別ソフトウェアのベンダを指す。「これらの企業はイノベーティブだが事業としては貧弱だった」。データベースやミドルウェア、アプリケーションで多くの顧客を抱えるオラクルが、これらの企業のソフトウェアを扱うことでベースの顧客数は大きく拡大する。

 オラクルが業種別のソフトウェアに力を入れるのは、顧客企業に「プリビルド」(構築済み)の環境を提供するためだ。異なるソフトウェアベンダの製品や手作りソフトウェアを組み合わせるには、手間とコストがかかるインテグレーションが必要。オラクルはデータベースやミドルウェア、業種別ソフトウェアをあらかじめ組み合わせたプリビルドの環境を用意することで、この手間やコストを減らせるとしている。「インテグレーションはオラクルの仕事だ。顧客はそのためにお金を支払う必要はない」(ウォルベン氏)

 「他社のERPはすべてが自動化された計算機だ。ビジネスに対して付加価値を産まない」。ウォルベン氏には他社のアプリケーションがそう見える。

既存製品の継続開発を約束

 オラクルは1月31日にアプリケーションの主要5製品の新バージョンを一挙に公開した。「Oracle E-Business Suite Release 12」「PeopleSoft Enterprise Release 9.0」「Siebel CRM 8.0」「JD Edwards EnterpriseOne 8.12」「JD Edwards World A9.1」の5製品だ。

 オラクルは「Web 2.0の設計思想をベースにする」(オラクル)という新アプリケーション「Oracle Fusion Applications」も開発中だが、5製品の開発を継続して行い、バージョンアップを続けることを約束している。ウォルベン氏は「5製品は5つのラインを構成するが、このラインを上空から見ると1つのラインのように見えるだろう」と話し、5製品に共通するオラクルのイノベーションを強調した。

oracle02.jpg 日本オラクルが東京・北青山に建設中の自社ビル予定地。2008年秋に入居予定だ

関連リンク

(@IT 垣内郁栄)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)