無償のオープンソース版も同時に提供

AjaxベースのWebメール「Scalix」日本語版が発売

2007/03/12

 日本スケーリックスは3月12日、Linux上で動作し、Webベースのメールとグループウェア機能を提供する「Scalixバージョン11日本語版」の販売を開始した。同社Webサイトでダウンロード販売するほか、パートナーを通したライセンス販売やシステム構築を行う。価格は50ライセンスで79万5000円(税別)から。無償で利用できるオープンソースのコミュニティ版も提供する。

Outlookと同等の操作性をAjaxで実現

 Scalixは今回のバージョン11からUTF-8に対応し、マルチバイトの言語にも対応。日本語化に当たっては、メニューやメッセージの日本語化だけでなく、全文検索インデックスの作成でも日本語に対応した。

 Scalixの前身は、2001年まで米ヒューレット・パッカードが開発、販売していた「HP OpenMail 7」。販売終了に伴いOpenMailのソースコードを米スケーリックスが買い取り、約2年をかけてWebブラウザに対応させた。会議室予約や会議参加者への一斉メールといったグループウェア的なスケジュール管理機能も加えた。

scalix01.jpg Scalixバージョン11日本語版。Windows上のIEを使ってアクセスした例。LinuxやMac OS、携帯電話からのアクセスもサポートする(クリックで拡大)
scalix02.jpg カレンダー機能。メンバー間で空き時間の調整ができる会議通知機能も備える(クリックで拡大)

 ScalixはExchangeサーバやLotusNotesR4〜R6を代替できるPOP3/IMAP対応のメールサーバで、Red Hat Enterprise Linux、SUSE LINUX Enterprise Server上で稼働する。LDAP、iCAL、MAPI、SSL、HTTPなど標準的なプロトコルに対応し、既存のウィルス対策、スパム対策ツールとの併用も可能。SOAP、RESTなどWebサービスのAPIも提供し、既存のシステムとの連携もできる。また、J-SOX対応を見据え、メールのログや管理画面操作のログも保存できるようにした。

 メールクライアントにはOutlookや通常のメールソフトが使えるほか、Ajaxを活用したWebインターフェイス「Scalix Web Access」も提供する。ファイルのドラッグ&ドロップや、コントロールキーやシフトキーによる複数メールの選択、削除・移動などもでき、OutlookやBecky!のような3ペイン構成のメールソフトとほぼ同等の操作感を実現している。また、1、2カ月後にはフルブラウザ対応の携帯電話向けインターフェイスの提供も予定している。

 1サーバ当たり約5000ユーザーをサポート。複数サーバによるクラスタリングが可能で、数人レベルのSOHOから、数万人規模の組織まで対応できるという。

 ライセンス形態は3種類。「Scalixエンタープライズエディション」は複数サーバ構成をサポートし、25プレミアユーザーから1ユーザー単位でライセンスを購入できる。50プレミアユーザーで79万5000円(税別)、100プレミアユーザーで159万円(税別)など。ただし、翌年から年間利用料として、それぞれ13万2000円(税別)、26万4000円(税別)がかかる。プレミアユーザーはメール機能や個人スケジュール管理に加えて、グループスケジュールやパブリックフォルダ機能が使える。例えば学校で導入する場合、50人の教員分のライセンスをプレミアムユーザーとして購入すれば、生徒のメール利用に関しては何人でも無制限、無期限のスタンダードユーザーとして利用できる。

 「Scalixスモールビジネスエディション」はシングルサーバ構成のみをサポート。50プレミアユーザーから25ユーザー単位でライセンスを提供する。50プレミアユーザーで16万4000円(税別)、100プレミアユーザーで65万8000円(税別)など。ただし、翌年から年間利用料として、それぞれ8万2000円(税別)、16万4000円(税別)がかかる。

 「Scalixコミュニティエディション」は、25プレミアムユーザー、シングルサーバのみという制限はあるが、無償でダウンロードして利用できるもの。現在、米国のユーザーを中心に約2000人が開発者コミュニティで活動をしており、技術的な情報交換やドキュメントの整備などを行っているという。

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(@IT 西村賢)

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