CA WORLDで基調講演

IT業界は複雑化の責任を取れ〜米CA社長

2007/04/23

ca01.jpg CA 代表取締役社長兼CEO ジョン・スウェインソン氏

 米CAの代表取締役社長兼CEO、ジョン・スウェインソン(John Swainson)氏が米国時間4月22日より米国ラスベガスで開催されているCA WORLDの基調講演に登場。「この場で皆さんとお会いするのはほんの18カ月ぶりだが、CAは当時とは大きく変わった」と語った。CAのカンファレンスであるCA WORLDは今回から18カ月おきの開催となっている。

 今回の同イベントのテーマは「Innovation in the Real World」(現実の世界における革新)。大企業では、長年にわたって導入されてきたさまざまなベンダのネットワーク製品やアプリケーション、セキュリティ製品が入り乱れ、さらに管理にも各製品専用のツールを使わざるを得ないなど、複雑化を極めている。これが現実の世界だ。この現状を打開するには、IT管理のための新しい、包括的なアプローチが必要だとスウェインソン氏は話す。

 ネットワーク化や分散化、モバイル化が進んでいること、製品ではなくサービスの形でIT機能が外から提供される傾向が強まっていること、SOA(Service Oriented Architecture)に内在する柔軟性が、新たな複雑性と脆弱性を生み出していること。こうした状況に対応できる管理手法により、ガバナンス、管理、セキュリティの確保の3つを徹底しなければならない。そして「あらゆるプラットフォーム、OS、プログラム、ハードウェアに対してこれを行えるベンダがCAだ」(スウェインソン氏)。

 18カ月前にCAが発表した戦略であるEITM(Enterprise IT Management)は、単体製品の導入で最高400%、複数製品の組み合わせでは最高600%の投資対効果を生み出すなど、結果を出してきたことをスウェインソン氏は力説した。同社は過去2年間で15件の買収を行う一方、年6億ドルを研究開発に投資。昨年は300の新製品や新バージョンを市場に送り出したという。

 EITMをさらに次の段階に進める方策の1つとして、CAは今回のCA WORLDにおいて「Capability Solutions」と呼ぶ機能別ソリューションを発表した。これは顧客にとって重要な機能分野のそれぞれにターゲットを当てて同社製品群を編成したものだ。同社はさらに「Unified Service Model」と呼ぶ共通情報管理機能によって、これらソリューション間の有機的な連携を進めていく。サービス対象、サービスレベル、ポリシー、コストなどの情報を立体的に関連付けて管理に利用できるようになるという。

 業界経験30年のスウェインソン氏は、「IT業界ではさまざまな革新が次々と生まれてきたが、顧客に導入や統合の負担を強いるものも多かった。ITの進化は重要な転換点に至っている。IT業界全体に対し、自分たちの生み出してきた複雑性を軽減するアクションを取れと言いたい。イノベーションのことを考えるだけでなく、そのイノベーションがどうすれば真に役立つのかを考えてほしい。そして皆さんも、ITの管理をどう変えられるかを考え、IT環境をどうすれば企業にとっての差別化要因にすることができるかを考えてほしい」と講演を締めくくった。

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(@IT 三木泉)

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