[Analysis]

結果がどうであれHPとコンパックの前途は険しい

2002/03/21

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 米ヒューレット・パッカードと米コンパックの合併計画が大々的に発表されたのは昨年9月のことだ。コンピュータ業界史上最大規模とされるこの合併は、ウォルター・ヒューレット(Walter Hewlett)氏をはじめとしたHPの共同創業者一族の猛烈な反対運動により暗礁に乗り上げかけていたが、実現するか否かはもうすぐ明らかになる。

 米国時間3月19日に行われたHP臨時株主総会で、その数約100万人ともされるHPの株主による投票で合併の是非が問われた。その直後、HPの会長兼CEO カーリー・フィオリーナ(Carly Fiorina)氏は勝利を宣言し、HPは“承認を得るに足る十分な得票数を得たものと確信する”とのりリースを出した。対するウォルター陣営は敗北を認めていない。集計が終了し、最終結果が出されるのは数週間後の予定だ(日本時間3月20日現在)。

 今回の一連の騒動は政治的なものとなってしまった印象が強い。賛成・反対の両陣営はUSA Todayなどの米メジャー紙に一面広告を出し、それぞれの主張の正当性を訴える“キャンペーン”を行った。ロイターなどが報じたところによると、19日の株主総会も、プラカードや衣服の色を統一するなどイベント色が強いものだった模様だ。

 3年前にHPをてこ入れするためにCEOに就任したフィオリーナ氏は、「事業を統合した大企業だけが生き残る」と買収の正当性を主張し、一方のウォルター氏は「HPの強みであるデジタルイメージング事業の足を引っ張る」と反対の意を表してきた。この半年の間、HPの株価は17%下落、コンパックの株価にいたっては27%下落した。対するライバルIBMは12%上昇している。このことや従業員の士気に与えた影響、そして株主の間に生じた摩擦などを踏まえると、今後合併が実現しようがすまいが、両社の前途は険しさを増したといわざるを得ない。

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