[Analysis]

「データと音声の融合」の裏表を見た

2004/06/08

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 NTTコミュニケーションズで5月31日、大規模な障害事故が発生し、企業向けのIP-VPNなど多くのサービスが一時的に停止した。原因はNTTコム大手町ビルの電源設備が故障したこと。たった1つの設備での障害が多くのサービスを停止させ、顧客企業のビジネスに影響を与えた。企業情報システムの基盤となっているIPネットワークのもろさが明らかになった。

 障害が発生したのは5月31日午後3時20分。大手町ビル内の分電盤が故障しルータなどに電力を供給できなくなった。ルータが停止したことでNTTコムの多くのサービスが停止した。サービスが止まったのはIP-VPNのほかにVLANサービスなど。企業向けのIP電話サービスや、インターネットサービスプロバイダを通じて提供している個人向けのIP電話サービスも利用できなくなった。関東地方の法務局出張所で登記簿謄本などの発行が停止、気象庁の「予報作業支援システム」も利用できなくなるなど影響が広がった。

 特にIP電話の停止が企業に与えた影響は大きかったようだ。企業によっては障害で内線電話が利用できなくなるケースも出たという。通信キャリアや通信機器ベンダはIP電話を利用した「データと音声の融合」を盛んにアピールしているが、融合されたIPネットワークに障害が起きるとデータ、IP電話がともに利用できなくなるリスクがある。ネットワーク融合を考える企業は、ネットワーク障害のリスクを避けるためにも別ネットワークの確保などバックアップ体制を整える必要があるだろう。

 NTTコムは再発防止策として、全国の電源設備の緊急総点検や分電盤、UPSを含むシステムの二重化、サービス系装置の分散収容によるリスク軽減などを行うとしている。

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