[Analysis]

ブログの可能性

2004/08/10

weblog.gif

 「インターネット白書2004」によると、ブログの利用者はインターネット利用者全体の2.5%に過ぎず、53.1%がブログの存在自体を「知らない」状況だという。同白書ではブログ利用者のプロフィールを「Web上での発言に抵抗がない10代、20代の若年層」としている。これらのデータをみる限り、ブログの認知度はお世辞にも高いとはいえないようだ。一方、ブログと同列で論じられることが多い個人のWebページは、ブログよりも多少の年季があるためか、「開設運営している」と回答しているのはインターット利用者全体の15.7%である。興味深いのは、今後開設を予定している層のうち、60代、50代といった高年齢層が多いという点である。

 8月4日、マイクロソフトは2004年秋ごろにブログサービス「MSN Spaces」を開始すると発表した。大手ISP(Internet Service Provider)としては後発ともなる同ブログサービスの核は、携帯電話との連携である。携帯電話上で無料ホームページ作成サービスを提供しているベンチャー企業と業務提携を結び、100万人という未曾有(みぞう)のブログ利用者獲得を目指すと同社は意気込む。マイクロソフト 執行役 最高技術責任者兼米マイクロソフト バイスプレジデント 古川享氏も自身のブログを立ち上げる予定である。

 ネットビジネスの新たな稼ぎ頭になる可能性に賭けて、各ISPは続々とブログサービスを提供し始めた。もちろん、マイクロソフトも例外ではない。しかし、古川氏が最近さまざまな場所で発表するブログに関するメッセージは、必ずしもビジネス面における啓蒙とはいい切れないものがある。古川氏は、トラックバック(双方向リンク)やシンジケーション(サイト連携)機能の存在、RSS(RDF Site Summary)の利用によるプッシュ型のコンテンツ配信といったブログの技術的な特徴を挙げ、インターネットが理想とした安全で質の高い仮想コミュニティがブログを契機に生まれる可能性があると指摘する。

 米国の大統領選では、ブロガー(自分のブログで情報発信を行う人々)を報道機関と同等に扱うということがあった。社会的に影響力を持つ人々が自分のブログから情報発信をするケースも出てきている。IT業界では例えば、米サン・マイクロシステムズが従業員のためのブログサイトを開設している。そこでは、同社社長兼最高執行責任者ジョナサン・シュワルツ氏のIT業界の動向に対するコメントも読める(Jonathan's Blog)。これらは新しいジャーナリズムの可能性を示唆する動きでもある。

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)