[コラム:Spencer F. Katt]
とてもいい年だった

2004/1/6


 コートダジュールの浜辺でリステルを一口すすり、地中海の明るい空にグラスをかざす。くすんだロゼとスカイブルーのコントラストはまさにパーフェクトだ。今年1年のストレスもココアバターのようにスムーズに溶けていく。2003年も、いろいろあった……。

 メタ・グループのクライアント・アドバイザリ・レポートが、2004年末までにマイクロソフトは自社のプロプライエタリ技術をLinuxへ移行させると予測……(「LinuxWorldでマイクロソフトがベスト賞……」)。このコラムでそう書いたのは、わずか1年前のことだった。レポートの責任者はいまごろ何を考えているだろう?

 2杯目のワインをグラスに注いでいると、往年の名カップル、トレーシーとヘップバーンをほうふつさせる春先の出来事を思い出した(「アンドリーセンのいないMosaic記念イベント」)。基本ソフトにJavaとの互換性を提供するように命じたフレデリック・モッツ判事の判決を不服として、マイクロソフトが上訴したのだけど、今度は同判事の妻であるダイアナ・グリボン・モッツ判事がその訴えを拒否したのだ。

 そういえば、それから1カ月後、マイクロソフトが幻のインターネット対応トイレ「iLoo」の開発に着手するかどうかで右往左往したときも、吾輩は手に汗握る展開にワクワクしたものだ(「アースリンクにアースしてくれ」)。

 6月に入ると、ニューヨークで開かれたセールスフォース・ドットコムのパーティで、CEO同士の一触即発の場面に遭遇した(「フレスナーの『哀愁のマンデー』」)。ライバル会社であるセールスネットのCEO、マイク・ドイルが、パーティ会場の入口でセールスフォース・ドットコムのCEO、マイク・ベニオフによって、押し問答の末に入場を断られてしまったのだ。案内状送付リストに誤ってドイルのアドレスが紛れ込んでいたことから、とんだハプニングと相成ったしだい。

 夏は蒸し暑い日々が続いた。コグノスのCEO、ロン・ザンボニーニは、もし新製品「ReportNet」の第3四半期の売り上げが1000万ドルに達しなかったら、第4四半期の収益を裸で発表すると約束した(「消えゆくロータス由来の製品名」)。キルトスカートが似合いそうにないスコットランド出身のザンボニーニは、ひょっとすると製品の売り上げを伸ばす完璧な方法を見つけたのかもしれない。

 一方、8月にボストンで開催された「XML Web Services One」に出席した吾輩は、近代的なヘッドハンティングの現場を目撃することになった(「今度はSCOとLinuxユーザー企業のバトル?」)。マイクロソフトのアーキテクト、ドン・ボックスは、講演の途中で会場にジミアンのCTO、ミゲル・デ・イカーサの姿を発見すると、こう叫んだ。「ミゲル、ちょっとしたエンプロイメント・アプリケーションを手に入れたぜ。君のケツはもう僕のものだ!」

 秋になると、メラニー・クラフトの第3作目が気になり始めた(「フィオリーナも星に願いを」)。著者のWebサイトによると、新作は「Man Trouble」というタイトルで、内容は大金持ちのプレイボーイを家庭的な男性に生まれ変わらせるロマンスだとか。しかし、そんなキャラクターをどこで見つけたんだか、彼女のフィアンセに聞いてみたいものだね。オラクルのラリー・エリソンだけど。

 ビーチで親しくなった女性から食前酒に誘われ、吾輩の夢想は中断した。ところがホテルのレストランに向かう途中、肩にかけていたバッグを落としてしまい、その中からスターウォーズのアクション・フィギュアが飛び出した。それを見た彼女は小さく叫び、吾輩を残して足早にどこかへ去ってしまった……。ま、来年もあるさ。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
It Was a Very Good Year

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