[製品紹介]

業界標準のツールで構成
Cosminexus Version4


宮下知起
Java Solution担当
2001/12/27

Java Solutionでは、これまで海外ベンダーのアプリケーション・サーバをいくつか紹介してきたが、国産アプリケーション・サーバの紹介は今回が初めてとなる。今後このApplication Server Centerコーナーでは、製品本体の仕様の紹介と評価を分けて紹介していく。今回は、日立製作所が開発したCosminexusの製品仕様を中心に解説する。アプリケーション・サーバを選択する上で、性能や価格と同様に、実は製品の構成・仕様も重要なポイントだ。運用時はもちろんだが、開発現場での導入のしやすさ、開発のしやすさが重要となってくるからだ。実際の製品を使用しての評価は、次回に期待いただきたい。

内容
Cosminexusの製品構成
Webアプリケーション開発への効率化の工夫

アプリケーションの運用管理
EJBの開発機能
eビジネス構築をサポートする多くのフレームワーク

 日立製作所のCosminexus Version 4(以下Cosminexus)は、開発ツールやサーブレット/JSPエンジンにサードパーティーのコンポーネントを積極採用し、EJBコンテナやCORBAサーバなどの、クリティカルなコンポーネントには、蓄積ある同社の基幹系技術を適用した自社製品を採用しているのが特徴だ。また、Version3からの大きな変更点として、イーシー・ワンが提唱するOpen Cbank標準のフレームワークであるCFrameworkを標準搭載していることも注目される。

Cosminexusの製品構成

 Cosminexusには、「Web Edition」と「Standard Edition」の2バージョンが用意されている。Web Editionは、サーブレット/JSPを使ったフロント業務アプリケーション開発、JDBCを介してデータベースにアクセスするエントリ・参照系システムを中心とした小中規模の開発にターゲットを当てた製品だ。Standard Editionは、Web Editionの機能に加え、EJBコンテナやCORBAサーバが含まれるため、EJBを使った業務ロジックの開発や基幹系業務との連携などが可能になり、より大規模な開発に対応する製品だ。

 また、それぞれのEditionは、次のプラットフォームでの運用を正式にサポートしている。

  • Windows NT 4.0 Server
  • Windows NT 4.0 Workstation
  • Windows 2000 Server/Advanced Server/Datacenter Server
  • HP-UX 11.00/11i
  • Solaris7/8
  • AIX5L V5.1

 Cosminexusは、開発環境と実行環境とに製品コンポーネントが大きく分かれている。まずは運用環境のコンポーネントを紹介する。表中でが付いているものはStandard Editionのみに含まれるコンポーネントであり、ないものは両Editionに共通するものだ。

運用環境を構成するコンポーネント 機能
Cosminexus Web Contents Generator(JRun3.0) Macromediaのサーブレット/JSPコンテナであるJRun3.0
Cosminexus Manager GUIによる運用管理
Cosminexus Library ユーザー認証やセッション管理の機能を提供
Cosminexus Server Component Container for Java EJBコンテナ
Cosminexus TPBroker for Java CORBA ORB/OTS機能を使用したアプリケーションの実行環境(Web Editionではアプリケーションの起動、停止、監視の機能を提供する)
Cosminexus TPBroker Object Transaction Monitor CORBA環境におけるトランザクション管理を実現
Cosminexus DABroker 各種データベースにアクセスするためのミドルウェア
Cosminexus cFramework MVCモデルでのJ2EE開発を容易にし、コンポーネントの再利用も容易にするフレームワーク

 表を見てお分かりのように、Cosminexusではサーブレット/JSPエンジニにMacromediaのJRun3.0を採用している。Cosminexusの統合インストーラは、上記のコンポーネントを順々にインストールしてくれるが(Windows版で検証)、 JRun3.0は別途インストーラが用意されており、全てのコンポーネントをインストールした後、インストールと設定を行う。

 EJBコンテナには、日立独自の「Cosminexus Server Component Container for Java」が用意されている。「TPBroker for Java」はStandard EditionではCORBAアプリケーションの実行環境を提供するが、Web Editionの場合はCosminexus Libraryに含まれるCosminexus Agentで、アプリケーションの起動や停止、監視機能を提供するのみとなっている。また、トランザクションモニタである「Cosminexus TPBroker Object Transaction Monitor」は、クライアントアプリケーションからのリクエストをきめ細かく制御し、オンラインプログラムとしての時間監視機能や運用機能を実現する。

  cFrameworkは、前述の通りイーシーワンが提唱するEJBコンポーネントのマーケットプレイス「Open cBank」での標準フレームワークだ。詳細は後で解説する。

 さて、開発環境として用意されているコンポーネントは以下の通りだ。ここでも、表中でが付いているものはStandard Editionのみに含まれるコンポーネントであり、ないものは両Editionに共通するものだ。

開発環境を構成するコンポーネント 機能
JBuilder 4 Enterprise Edition ボーランドのJava統合開発環境
Cosminexus Authoringg Tool(Dreamweaver3) MacromeediaのWebページ制作ツール
Cosminexus Library ユーザー認証やセッション管理の機能を提供するライブラリ
Cosminexus Studio Component Container for Java EJB開発を支援するウィザード
Cosminexus TPBroker Developer for Java CORBA ORB/OTS機能を使用したアプリケーションの開発環境を提供する
Cosminexus DABroker for Java 各種データベースにアクセスするためのミドルウェア

 統合開発環境としてはボーランドのJBuilder 4 Enterpriseが標準開発ツールとして用意されている。また、Webページ制作のツールとしては、MacromediaのDreamweaver 3が含まれる。どちらもすでにデファクトスタンダードといえるツールである。また、EJB開発の支援は、Cosminexus Studio Component Container for Javaが担う。

Webアプリケーション開発の効率化への工夫

 Cosminexusでは、どのWebアプリケーションにの共通して頻発するコーディング作業を、できるだけ簡素化できる工夫が行われている。

■独自のユーザー認証、セッション管理機構

 Cosminexusは、ログインによるユーザー認証、セッション管理などの機構をあらかじめ用意されたAPIと常駐プログラムで実現できるようになっている。そのため、Webアプリケーションに共通したこのようなロジックは毎回コーディングする必要がない。

 具体的には、Cosminexus Libraryで提供されるJava APIを使いアプリケーションを開発する。運用環境では、同じくCosminexus Libraryに含まれる以下のプログラムを常駐させることになる。

  • Cosminexus Sesion Manager(セッション管理プログラム)
  • Cosminexus Login Manager(ユーザー認証プログラム)
  • Cosminexus Agent

 Java APIはVersion 3まではCosminexus Framework for Java(CFJ)と呼ばれていたものである。Version 4になってから、Java APIと運用環境のプログラムの両方がCosminexus Libraryとしてインストールされることになった。

 Cosminexus Libraryが提供するJava APIでは、主に以下のような機能が提供されている。各APIが提供するメソッドを使うことで、プログラミングが簡素化する。

ユーザーIDの追加/パスワード変更/URLへのアクセスチェック/ユーザーIDに対応するアプリケーション固有情報の取得・設定/CGI情報の取得/ログイン情報再利用数の取得/Cosminexus Session Managerのセッション監視間隔時間の取得・設定/グループIDの取得・設定/ユーザIDの取得/ログイン/ログアウト/セッション強制切断後のログイン/セッションの強制切断/業務名に対応するアプリケーション固有情報の取得・設定/セッションIDの取得/ログイン管理情報の取得

■JBuilderと統合された開発支援環境

 JSPウィザードは、Cosminexus Libraryで提供されるログイン管理、セッション管理の機構を利用するアプリケーションのひな型を生成する。JBuiderのオブジェクトライブラリから利用することができ、JSPファイルのひな型と、JSPから呼び出す業務ロジックを記述するためのJavaBeansのひな型のソースの両方を生成する。

 JSPウィザードは、Webアプリケーションを、業務、メニュー、およびサービスという3つのページ種別に分類して生成するため、MVCモデルに従ったアプリケーション構築が容易になる。

JBuilderから起動されるJSPウィザードの画面

アプリケーションの運用管理

 作成されたWebアプリケーションの運用管理は、Cosminexus Managerで行う。以下の運用管理が可能だ。

  • ユーザー管理
    Cosminexus Managerを利用するユーザーを管理する。また、アプリケーション利用社の認証を管理できる
  • 運用中のマシンや実行中のジョブの状況の把握、アプリケーションの起動と停止、および保守情報のトレースを収集
  • セッション管理
    アプリケーションのセッションの状態を確認できる。

 セッション管理機能は、前述の通りCosminexus Libraryが提供するCosminexus Session ManagerとCosminexus Login Managerで実現しているが、Cosminexus ManagerはCosminexus Sesssion Managerに接続し、ユーザー・セッション毎の詳細な情報を画面で確認することができる。

Cosminexus Managerの管理画面

EJBの開発機能

 Cosminexusが提供する「Cosminexus Studio Component Container for Java」は、JSPウィザードと同様にJBuilderから利用することができる。「JBuilderへの部品組み込み」プログラムを実行することで、JBuilderのオブジェクトギャラリに[Cosminexus]タブが追加される。結果、画面のようなツールが登録される。

JBuilderのオブジェクトギャラリに追加された「Cosminexus」タブには登録されたウィザード群

 オブジェクトギャラリの、「Enterprise Bean」はEJBのひな型を生成するウィザードである。このウィザードで生成しロジックを記述した後、「Deployment Descriptor」ウィザードを実行することでDeployment Discriptorが自動生成できる。そして最後に「Ejb-jar file」ウィザードを実行すると、デプロイ可能なjarファイルが完成する。

EJBを生成するウィザード

 完成したjarファイルは、EJBサーバである「Cosminexus Server Component Container for Java」に対してデプロイを行う。デプロイはEJBアプリケーションのデプロイや運用を管理する「EJB Manager」を使ってビジュアルに実現できる。

 また、デプロイしたEJBへのリモートデバックはJBuilderのデバック機能を使って行うことができる。EJB開発においても、JBuilderと統合された開発環境が用意されている。

eビジネス構築をサポートする多くのフレームワーク

■業界期待のフレームワーク「cFramework」

 CosminexusがバンドルするcFrameworkは、前述の通り、イーシーワンが中心となって推進する「Open cBank」の標準フレームワークである。Open cBankパートナーはすでに40種類以上のEJB部品を提供しており、この豊富な資産が利用できるメリットは大きい。

 その特徴は、システム全体がWebサーバ(サーブレットコンテナ)とEJBサーバ(EJBコンテナ)にうまく分散配置できるように考えられている。Web層では、クライアントからのリクエストの受け取り、画面遷移、EJBへのリクエストの受け渡しを担う。EJB層では、クライアントを意識することなく、純粋にビジネスロジックだけを実行する。そのため、EJBコンポーネントのシステムへのプラグインが容易になっている。

 HTTPリクエストからのパラメータの取得、EJBHomeクラスのlookup、画面詮議の制御などの共通部品を揃えることで、設計・開発の効率化が図れる。もちろん、cFrameworkを用いて開発を行う際には、Cosminexus Libraryは利用しないことになる。

■その他のフレームワーク

 日立製作所では、J2EEプラットフォームにおけるさまざまなフレームワークを提供している。その1つに企業ポータル構築を実現する「Cosminexus Protal Framework」がある。 これは、Portlet(ポートレット)と呼ばれる用途別に用意されたアダプタを組み合わせるだけで、社内のポータルサイトが容易に構築できるというものだ。Portletには、イントラネットとインターネットコンテンツを統合するもの、文書管理・検索を実現するもの、グループウェア(日立のGroupmaxやロータスノーツ)を統合するものなどが用意されている。もちろん、JSPを自由にカスタマイズしてカスタムポートレットを開発するためのPortletも用意されている。その他の機能に、ユーザーに応じてページをパーソナライズする機能、携帯電話やPDAなど、各種のデバイスからのアクセスを可能にする機能、シングルログオン機能など、企業ポータルとして必要な機能を揃えている。Portletのアーキテクチャを採用することにより、ユーザー自身による拡張が可能なほか、日立製作所からも今後さまざまなPorletが提供されていく予定であり、ユーザーニーズに柔軟に答えられるソリューションとして評価できるだろう。


Cosminexus Protal Frameworkで実現したポータル画面。電子メール、文書検索、グループウェアなどが1画面に統合されている

ポータル画面はユーザーが自由にカスタマイズできる

 Cosminexusは、JRunやJBuilder、Dreamweaverなどの業界で定評あるツールをうまく組み合わせている。自社製品ではないとはいえ、これらのツールをうまく連携させることで、例えばJBuilderからのJSPページの生成、生成したWebページのDreamweaverでの再デザインとサーバへの配布。JBuilderによるEJBの生成とDeployment Discriptorの生成、EJBのデバックと、一連の開発工程を効率よく行うことができる。これらのツールに普段から使い慣れたユーザーであれば、開発環境は非常になじみやすいと言える。

 一方で、CORBAサーバであるTPBroker for Javaは、OLTPに関しては技術の蓄積ある日立製作所の強みが生かされた製品だ。大規模システムの構築での能力の発揮を期待できるだろう。

 また、メインフレーマーの強みとして、JavaアプリケーションとCOBOLプログラムを接続するJava-COBOL連携製品や、Webアプリケーションでの帳票を実現する製品をCosminexusのグループ製品として用意するなど、これからの需要が大きくなるであろう、既存の基幹システムとの連携ソリューションを用意している部分も評価できる。


[関連リンク]
Cosminexus Cafe
日立製作所(オープンミドルウェア)

 

  Application Server Center
アプリケーション・サーバ情報へのリンク集 (2001/12/3更新)
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