自社のWebサイトの性能を知るために(2)

2002/1/31
January 2.2002 InternetWeek By Lenny Liebmann

業務プロセス管理も実現したS&P

 米スタンダード&プアーズ(S&P)のThe McGraw-Hill Companies事業部で副社長兼技術アーキテクト責任者を務めるBrian Whitehead氏も、カスタマーの視点からサイトを監視するツールを利用している。これまで、HP OpenViewや米ティブコソフトウェアのHawkなどの各種管理アプリケーションでパフォーマンスをトラッキングしてきたが、従来の管理ツールでは不十分になりつつあるという。

 「バックオフィスで問題を引き起こす可能性のある細かい問題を1つ1つ監視するところまで期待できない。カスタマーと同じ視点を持つ必要がある」(Whitehead氏)。

 そこで、同社は米マーキュリー・インタラクティブのTopazソフトウェアを使い、社内のファイアウォール内からS&PのWebサイトを監視している。

 Whitehead氏は、「いずれにせよ、公共のインターネットで起こっていることはわれわれには一切コントロールできないので、サービスレベル保証契約はファイアウォールまでの範囲で提供できることを基本として書かれている」と語る。そして、Topazは「全く睡眠をとらず、いつも苦情ばかり訴えるカスタマー」のように監視してくれると考えている。同製品は大きなサービス関連問題の回避に有効な初期警告システムを提供するものだ。

 ページ読み込みのパフォーマンスは、サイト管理関連でWhitehead氏が抱える問題の中では、可用性とコンテンツの鮮度に続く3番目に過ぎない。S&PはTopazがアップデート時に自動的にコンテンツをチェックできるよう、適切なサイトコンテンツすべてにタイムスタンプを押している。そして、カスタマイズされたTopazスクリプトがこのタイムスタンプをチェックし、タイムスタンプがあらかじめ決められた時間を10分以上過ぎている場合にはアラームを鳴らしている。

 このアプローチは、サイトが技術的に健全な状態にあるかどうかだけでなく、システムがサポートするビジネスプロセスの監視にも有効な手段だ。なぜなら、Webサーバのオフラインが原因で編集担当者が作業期限に遅れただけでも、コンテンツの内容が古いものとなってしまう可能性があるからだ。

 報告された株や商品の値段が間違っているかもしれないことに気付くとTopazが警告できるよう、S&Pでは自社サイト上で報告されるさまざまな数値についても範囲を設定した。従って、Whitehead氏の部署では期限の遅れや外部からの不正データ侵入といった単純な技術的問題だけでなく、社内業務におけるさまざまな分野の問題も突き止めることができる。

 S&Pは実作業環境でTopazを利用して既存のアプリケーションを安定化させているが、これは金融サービス企業である同社が次期プロジェクトを立ち上げるにあたって必要なことだった。現在、S&Pではクオートエンジンやルールベースの選別ツールといった自社アプリケーションの個々のコンポーネントを捨て、これらを顧客が好みに応じて選べるサービスとして提供するWebサービスプラットフォームの開発を進めている。

 それにあたり同社では、Sun ONEプラットフォームを使い、新サービスをSOAP(Simple Object Access Protocol)レイヤーで包んでいる。出力がHTMLのように監視できるXMLベースであるため、自社が提供する各Webサービスのパフォーマンスをかなり容易に監視できる。

 マネージャが選べるレスポンスタイム監視サービスの選択肢は増えた。マーキュリー・インタラクティブでは、インターネット上の約500カ所のポイントからファイアウォール外の監視を行う「ActiveWatch」と呼ばれるサービスを提供している。また、「SiteAngel」(米BMCソフトウェアが米Evityを買収して入手した機能)は、カスタマーがファイアウォール外の監視関連統計情報を社内のシステム管理ツールと統合できるようにしてくれる。

 これらのサービスは、ISPのPoP寄りに設置され、通常は高速回線で接続された監視プローブを使う。これに対し、新規参入ベンダの米Porivo Technologiesでは、実際にインターネットを利用しているユーザーのPCを使って自社サイトを監視している。Porivoによると、コンシューマーや小規模企業がよく使うダイヤルアップやブロードバンドなどの回線のレスポンスタイムを計測するという点では、同社のサービスの方が正確にWebユーザーの使い勝手を反映しているという。

 Tier 1プロバイダーのバックボーンからテストを実施するKeynoteなどのサービスと異なり、Porivoには代表的なISP各社を経由してサイトに接続できる監視エージェントがある。Porivoのサービスは、1カ月249ドルからとなるURL単位の定期利用ベースで提供されている。料金はこの金額を下限とし、追加機能、テストの頻度、そしてサービスの提供範囲に応じて加算される。典型的なカスタマーで1URLあたり300〜1000ドルとなっている。

*この記事は3回に分けて掲載しています。(前回(1)を読む次回(3)を読む

[英文記事]
Know Your Web Sites Inside And Out

[関連リンク]
HP OpenView
ティブコソフトウェア
マーキュリー・インタラクティブ

[関連記事]
テストとモニタリングで安全なシステム運用とリスク削減を実現 (@ITNews)
[Interview]負荷テストとモニタリングは今後のECに不可欠 (@ITNews)
Webサイト性能監視ツールの最新版、マーキュリーから (@ITNews)
Webサイトのパフォーマンス向上を目指し誕生する新技術(@ITNews)
社内システムとWebのインフラ管理を統合する新ツール (@ITNews)
NTTコミュニケーションズ、Webパフォーマンス管理サービス (@ITNews)
マルチベンダ環境のハブを目指すBMC、可用性の重要性を強調 (@ITNews)

Copyright(c) 2001 CMP Media LLC. All rights reserved

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)