デマルコ氏来日、マネジメントスキルの真髄

2004/1/28

アトランティック・システム・ギルド会長 トム・デマルコ氏

 1月27日、28日と2日間にわたって行われる「ソフトウェアテストシンポジウム2004(主催:ソフトウェアテストシンポジウム実行委員会)」の基調講演を担当したのは、アトランティック・システム・ギルド会長 トム・デマルコ(TOM DeMARCO)氏だ。「Management:The Stuff They Don't Teach You Anywhere」と題された講演でデマルコ氏が語ったのは、マネジメントスキルというものの根本的な考え方、あるいはあり方そのものであった。

 「トレーニングで身に付けられるようなマネジメントスキルというものはない。そもそもマネジメントスキルというものの最も重要な要素は、トレーニングを介して伝達可能な類のものではない」。デマルコ氏の著書を1冊でも読んだことのある人ならおなじみの逆説的な解説である。スキルでありながら、伝達不可能な何か。それこそが、マネジメントスキルの本質をなすものだ。つまり、人の性質に関連する、基本的ともいえる要素、ここでは例えば「感謝する心」であったり、「人を信頼すること」であったり、あるいは「(部下などを)賞賛しながらその能力を伸ばそうとする態度、気持ち」であったり、「人の話をきちんと聞く」ことを指す。このような要素は、教えてもらって何とかなるような類のスキルではない。まさに、マネジメントという混乱を収束させるスキルの向上を「人」の性質を核に説いてきたデマルコ氏の真骨頂といえる。

 講演の基本的な骨子は、デマルコ氏の著書である「デッドライン ソフト開発を成功に導く101の法則」(日経BP社)や「ピープルウェア第2版 ヤル気こそプロジェクト成功の鍵」(日経BP社)が下敷きとなっていた。ソフトウェア開発プロジェクトが抱える問題を解決しようと、さまざまなツールや手法、概念が登場するが、決してそれらだけでは解決することはない。なぜなら、プロジェクトを形成するのは人であり、プロジェクトマネジメントに人が占める要因は決して小さくはない、というデマルコ氏の主張に聴講者は熱心に耳を傾けていた。

(編集局 谷古宇浩司)

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