ノベルに聞く、「Linuxを全社に展開するには?」

2004/6/12

 米ノベルのグローバルディレクター ジョン・ビューカート(John S. Beuchert)氏は、UNIXやWindowsからLinuxへの全社的なマイグレーションについて、「デスクトップPCをどのくらいの比率でLinux環境に移行させるかでROIは変わってくる」と述べ、デスクトップPCの扱いがポイントなるとの考えを示した。

米ノベルのグローバルディレクター ジョン・ビューカート氏

 ビューカート氏によるとLinuxのサーバ環境は「基本的なサービスはLinux上で運用することに問題はない」という。UNIXやWindows、メインフレームなどプロプライエタリなアプリケーションをLinux環境に移行してもビジネス上の問題はない、と指摘した。ERPやCRMなどビジネス・アプリケーションのLinux対応が遅れているが、「今後、大きくLinux対応が広がると考えている」と述べ、楽観的な見方を示した。
 
  ビューカート氏がLinuxマイグレーションのポイントとして指摘したはクライアントPCの移行だ。ビューカート氏の考えでは、Linuxを搭載したクライアントPCの機能はWindows環境と同等レベルにはなっていない。そのためクライアントPCの業務をそのままLinuxに移行できるのは、PCの機能の一部しか利用しないコールセンターや製造現場など特定の業務と指摘した。一般社員が利用するクライアントPCまで含めて全社的にLinuxに移行すると、トレーニングコストやアプリケーションの開発、機能面の不足などでコスト、リスクが増大する危険があるというのだ。

 ノベル社内では現在、全社的にシステムをLinuxに移行させている。ビューカート氏は「マイグレーションの移行コストは当初の予測ほど大きくはない。Windows OSやMicrosoft Officeのライセンスコストの削減ができる」と述べた。ビューカート氏は「どの企業でもクライアントPCをLinuxに移行する場合は、アプリケーションをネイティブで動かすアプリケーション、WINEなどミドルウェアを使ってLinux上で動かすアプリケーション、サーバで実行するシンクライアント型のアプリケーションの3種に分類し、適切な移行法を考える必要がある」と説明した。

(編集局 垣内郁栄)

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