【LinuxWorld開催】
仲良しクラブを卒業した大手ベンダ

2004/8/5

 LinuxWorld(米IDG WORLD EXPO主催)が、米カリフォルニア州サンフランシスコで8月2〜5日(現地時間)にわたって開催されている。躍進が目覚しいLinuxだが、その勢いは展示会などに登場する顔ぶれを見てもうかがえる。

■Linuxの次なる課題はシステムの統合管理

 Linuxは、普及の第3フェイズに入りつつあるといえるだろう。10年以上前、一部の開発者が集まって「独自のUNIXをスクラッチから起こそう」と始まったプロジェクトは、少しずつ改良を加えることでWebサーバや電子メールサーバなど、インターネットの拡大の波に乗って、活躍の場を広げた。やがて5年ほど前になると、それまで商用UNIXが全盛だった企業システムやミッション・クリティカルな分野などへとその領域を少しずつ拡大し、スケーラビリティや可用性の面で大幅な機能強化が行われた。そして現在、Linuxの課題は、スポット的に拡大してきたこれらシステムをどう統合し、クライアントなど、これまでWindowsの1人勝ち状態だった分野へと、いかに範囲を広げていくかだ。

米Red Hat会長兼CEOのマシュー・ズーリック氏

 LinuxWorldの基調講演で壇上に立った米Red Hat会長兼CEOのマシュー・ズーリック(Matthew J. Szulik)氏は、これからのLinuxに求められるのは「何千ものサービスを管理する仕組み」と強調した。実際、企業システムの随所にLinuxが導入され始めているが、システム全体がLinuxであるケースは少ない。Linuxがさらに拡大していくためには、さらなる信頼性とともに、それらを包括的に管理できる仕組みが必要となるだろう。

 少しずつではあるが、Linuxはそれらの要件を満たしつつあるようだ。ズーリック氏の直前にスピーチを行ったインターネットベースで旅行代理店業を行う米Orbitzの会長兼CEOのジェフリー・カッツ(Jeffrey G. Katz)氏によれば、同社は2年前にSolarisベースのシステムからLinuxへとリプレイスを行い、24時間365日体制でOrbitzのサイトの運営を続けているという。

 同氏の話で注目すべきポイントは2つある。1つ目は、Linux導入で80%のコストダウンを実現したことだ。2つ目は、Webサーバからアプリケーション・サーバ、検索システムまで、すべてのシステムがLinuxベースで動作していることである。Linuxでコストダウンというと、OSのライセンス料金のことに目がいきがちだが、同氏によれば「実際は運用コストの低減によるところが大きい」という。

■誰がLinuxの舵を握るのか

 8月1日の米Wall Street Journalなどの報道によれば、米サン・マイクロシステムズが米ノベルの買収計画を練っているとのことである。ノベルは2003年に、米IBMの支援を受けてLinuxベンダのSuSEを買収、Linuxディストリビュータの1つとなった。サンは現在、Red Hatとの提携でLinuxソリューションを展開しているが、ライバルであるIBMに対抗するために、IBMが推しているSuSEを傘下に収めようというのだ。これにより、IBMとの戦いを有利にするのがサンの狙いという。

 Sunの動きはこれだけではない。先日のLooking Glassなどのクライアント技術をGPL化したのをはじめ、サーバ・アプリケーション・スイートの「Java Enterprise System」(JES)のオープンソース化も検討しているという報道もある。ライバルのIBMは、オープンソースの開発ツールであるEclipseを全面的に支援することで、WebSphereをはじめとする同社製品への開発者からの支持を集めようとしている。アプリケーションサーバの分野ではWebSphere ASのライバルとなるWebLogicを擁する米BEA Systemsもまた、同社の開発ツールの一部のオープンソース化を進めているといわれている。

 また、アプリケーション・サーバの分野では、オープンソース・コミュニティから新たな動きが起こっている。Webサーバで大きな勢力を誇るApache Software Foundationが開発を進めるJavaアプリケーション・サーバの「Geronimo」が、9月にも正式リリースされる見込みだ。Geronimoは、J2EEをサポートしたオープンソース・ベースのJavaアプリケーション・サーバであり、先陣を切るJBossなどの既存製品の対抗馬になると目されている。

 各社はそれぞれの思惑をもって、オープンソース・コミュニティへの協力と、結果として得られる開発者からの支持獲得に動いている。一見すると、各社が協調し合って互いの長所短所を補完し合っているように見えるLinux市場だが、水面下では覇権をかけた争いが繰り広げられているようだ。

鈴木淳也(Junya Suzuki)

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