NECが米社のスパム防御技術を採用、BIGLOBEで無料提供

2005/3/8

 NECは、同社が運営するインターネット・サービス・プロバイダ「BIGLOBE」で、電子メールサーバ上でスパムメールをフィルタリングする無料の新サービス「迷惑メールブロックサービス」を5月に開始すると3月7日に発表した。同サービスは米クラウドマークの技術を日本のISPとして初めて採用。BIGLOBE接続会員が利用できる。

米クラウドマークのCTO ジョーダン・リッター氏

 米クラウドマークの技術「Cloudmark Authority」の特徴は、電子メールのヘッダやHTMLの構造などスパムメールに見られる特徴を解析する機能と、電子メールが経由したサーバの信用度を基にスパムメールか通常の電子メールかを判断する機能を組み合わせたこと。米クラウドマークのCTO ジョーダン・リッター(Jordan Ritter)氏は「メッセージ全体を見て、通常メールに偽装するスパムメールの手法に着目する」と説明。電子メールの構造を分析する仕組みのため、電子メールの言語には依存しないという。

 クラウドマークには日本人5000人を含む、世界で120万人が使用するスパムブロックのクライアントソフト「SafetyBar」がある。Cloudmark Authorityの解析機能は、このSafetyBarが収集するスパムメールの分析データを利用。分析データは30日に1度更新され、BIGLOBEなどCloudmark Authorityを採用しているISPに送信される。

 Cloudmark Authorityのもう1つのブロック技術は、電子メールが転送されてきた経由サーバの信用度から電子メールを判断する。経由サーバの信用度は、SafetyBarユーザーの申告によってリアルタイムに変わるため、発信元や経由サーバを頻繁に変えるフィッシング詐欺メールのブロックに有効だという。クラウドマークはCloudmark Authorityを米センドメールにOEM提供していて、BIGLOBEはCloudmark Authorityを組み込んだセンドメールの電子メールサーバをカスタマイズして利用する。

 リッター氏によると、Cloudmark Authorityは米国でスパムメールの95%をブロック。通常メールの誤判定は1%だったという。NECのBIGLOBEパーソナル事業部 事業部長代理 古関義幸氏は「日本語の電子メールでもこれに近い数字でブロックできる」としている。また、フィッシング詐欺メールについても「発見から5分でブロック可能」とアピールしている。

 NECは迷惑メールブロックサービスのモニター評価サービスを3月8日に開始する。1万人を集める予定で、ユーザーからスパムメール判定のフィードバックを受けて、判定エンジンの精度を向上させる。本サービスの開始は5月中旬を予定。法人向けのサービスも5月に始める。7月上旬には電子メールサーバ上でスパムメールを判別し、メールサーバ上の別フォルダに移動する有料サービスも開始する。有料サービスでは、どのような電子メールがスパムメールと判断されたかを示すレポートもユーザーに届ける。月額150円程度での提供を考えている。

(@IT 垣内郁栄)

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NECの発表資料

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