教育とITの目標は人間の可能性の拡大

2005/3/18

 マイクロソフトは3月17日、報道関係者向けの発表を行い、同社のアカデミック分野における取り組みを紹介した。マイクロソフト 執行役 デベロッパーマーケティング本部 本部長 鈴木協一郎氏は「教育とITは“人々の持つ可能性を最大限に引き出す”という同じ目標を持っており、一緒にその目標に進んでいきたい」と語った。

マイクロソフト 執行役 デベロッパーマーケティング本部 本部長 鈴木協一郎氏
 マイクロソフトのアカデミック分野に対するミッションは、同社のテクノロジを用いて教育関係者の価値向上を支援すること。同社は教育関係者を、教育機関・学校、教師・教員、生徒・学生の3種類に大きく分類して取り組んでいく。鈴木氏は、現在の教育環境を「2004年より国立大学が独立行政法人化するほか、2007年には大学の定員が入学希望者を超える“全入時代”に突入するなど、大学間の競争が激化し、人気が二極化する」と分析。他校と差別化を図るために、IT関連教育やITインフラの整備は必須になると訴えた。

 教育機関・学校向けの取り組みでは、魅力ある大学づくりのために「IT教育環境の整備」や「産学連携プロジェクトの推進」などを行うほか、小中高校向けには「NPO法人ブロードバンドスクール協会」や「ICT教育推進プログラム協議会」などに参加している。IT教育環境の整備では、取り組みの一貫として青山学院大学の相模原キャンパスにタブレットPC60台を用いた「マルチメディア教育システム」を導入した。産学連携プロジェクトでは、早稲田大学でのセキュリティ講座や九州大学での組み込み系開発講座など、多くの大学で寄附講座を実施している。

 マイクロソフトによると、現在小中高などでは国が目標として挙げている「5.4人にPC1台」の目標に遠く及ばず、昨年時点では「8.8人に1台」しか行き渡っていないという。この現状を改善するために、同社はリサイクルPCを学校に寄贈する「ICT教育推進プログラム協議会」に参加。スクール向けOSの無償プログラムを提供しているほか、「授業にどのようにPCを取り入れれば良いのか分からない」といった教員側の声に応えるための啓もう活動も兵庫県で行っている。この取り組みは好評で、今年は兵庫県に3県を加えた4県で、延べ100〜110回程度の講習会を2000人強に対して実施する予定だ。

 教師・教員への取り組みでは、研究を助成するために「マイクロソフト知的財産研究助成基金」を設けているほか、教育・研究用のライセンスを提供している。また、研究支援として、マイクロソフトと大学による共同研究や研究者交流やイベントなどを実施している。マイクロソフト リサーチ アジア ユニバーシティ リレーションズ シニアマネージャ 和田肇氏は「さらに共同研究を拡充し、研究者との交流を深めたい」と今後の取り組みを説明した。

 生徒・学生向けには、「ITを使って自己実現をしてもらいたい」(マイクロソフト デベロッパーマーケティング本部 アカデミック情報教育推進部 部長 冨沢高明氏)といった目標があるという。そのための環境として、学生向けに「Visual Studio .NET theSpoke Premium」を提供しているほか、theSpokeといったコミュニティサイトも提供している。また、実践の場としては、技術啓もうイベント「The Student Day」や技術コンテスト「Imagine Cup」を開催している。特にImagine Cupでは2005年に日本勢が躍進し、ビジュアルゲーミング部門で1位、2位通過しているほか、アルゴリズム部門でも国別3位になるなど活躍しているという。

 鈴木氏は今後の活動について、研究活動の強化やより使いやすいIT環境の提供を挙げたほか、「日本にも拠点を置き、大学との連携に一層力を入れていく」と説明した。

(@IT 大津心)

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マイクロソフト報道発表資料

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