情報過多という足かせから脱却させたい〜ゲイツ氏

2005/5/21

 マイクロソフト会長兼チーフ ソフトウェア アーキテクトのビル・ゲイツ(Bill Gates)氏は5月19日、「新たな仕事環境」と題したメッセージを配信した。メッセージ内でゲイツ氏は、インフォメーションワーカーの現状分析や次世代のオフィス環境に関する展望などを述べている。

2月に行われた「RSA Conference 2005」基調講演でのビル・ゲイツ氏

 このメッセージは、マイクロソフトの本社役員がテクノロジや政策といった業界における重要なトピックを盛り込んだメッセージを、プログラムの登録者に直接電子メールで配信するサービス「Microsoft Executive E-mailプログラム」において送られたものだ。同社Webサイト上で、日本語訳されたものを閲覧することもできる。

 ゲイツ氏は、今後のソフトウェアが解決すべき課題を「現在の必要な情報へのアクセス手段を提供するというよりも、いかに情報に大きな意味を持たせられるかという点に比重が移っていく」と分析。重要なデータを視覚化して理解しやすくする、情報環境の複雑な側面を軽減することなどが重要になると推測している。

 また、生産性の向上の問題では、情報過多が深刻な足かせになっていると指摘。北米の典型的なインフォメーションワーカーが受け取るメールの量は、1997年の10倍に達しており、今後4年間でさらに5倍に増加するという。このような情報過多や複数プロジェクトの同時参加などの要因によって、生産性が悪化しているとゲイツ氏は分析しており、「今後マイクロソフトは生産性の向上のためのツールを提供し、最も価値のある作業に集中できるようにできるようにしたい」とマイクロソフトの今後の方向性を示している。

 生産性向上のための具体的な機能には、ソフトウェアがユーザーの作業傾向や、どのような情報を必要としているかを判断し、作業や情報の優先度の判定を支援する「個人の生産性の向上機能」。ソフトウェアがユーザーの作業過程を推測し、必要な情報を整理された形で事前準備する「パターン認識と適応フィルタリング機能」。アプリケーションやデバイスの違いに依存せずにネットワーク環境への入り口が一元化される「コミュニケーション手段の一元化」。“共有ワークスペース”と呼ぶ仕組みによって、場所や地域を越えてデータや文書に即時にアクセス可能となり、チーム作業に役立つ「チームコラボレーション機能」。ファイルやフォルダといった概念を基礎とした現在の管理手法を、さらに柔軟で直感的なものに変えた「最適情報の検索機能」。複数のアルゴリズムを活用することで、何百Gbyteといった膨大なデータの中からなんらかの傾向を特定するといった、人間では不可能な分析作業を行う「傾向を特定できるビジネスインテリジェンス機能」などが挙げられている。

 ゲイツ氏は新しいインフォメーションワークの世界では、コラボレーション、ビジネスインテリジェンス、時間の優先付けが重要な要素になると推測。上記の機能を利用することによって、「これらの要素を支援するほか、生産性向上への期待に応えられるのではないか」としている。さらに、これらの機能を「Microsoft Office」をベースにした次世代の生産性向上プラットフォームを通じて実現しようとしていると説明した。

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Microsoft Executive E-mail プログラム 日本版サイト

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