NEC、8万円相当の水冷ユニットを搭載したワークステーション

2006/7/13

 NECは7月12日、CAD(設計用コンピュータ)やCG作成などに使用するワークステーションにおいて、35dB(デシベル)以下を実現した水冷式の静音ワークステーション「Express5800/54Ca」の販売を開始したと発表した。また、これにあわせてワークステーションのシリーズ名称を「SEGUENTE」にする。

業界で初めてワークステーションに水冷式のユニットを搭載した「Express5800/54Ca」。水冷ユニットの小型化に苦労したという
 54Caは業界で初めて水冷ユニットを搭載したワークステーション。ワークステーションは、高速グラフィックスボードを搭載しない通常のサーバと比較して、発熱量が約1.3倍になることから、CPUとグラフィックスボードを冷やすためのFANの動作音が40dB以上に達していた。54Caでは、PCやサーバなどで実績のある同社の水冷技術をベースに水冷ユニットを新たに開発。動作音を35dB以下に、排気量も2分の1程度に削減できたという。NEC 第二コンピュータ事業本部 副事業本部長 百瀬裕也氏は、「静音と排風の低減は、昔から多くのユーザーから要望として挙げられていた。当社は、日本企業としてこういった日本企業のニーズをくみ上げて開発に生かしていきたい」と語った。

 NECでは、従来よりワークステーションを販売してきているが、「これまでの製品は、性能や機能などを追求した製品単体しか考慮していない製品コンセプトだった。これからは、製品以外にも静音や低排気など、周りの人やオフィス全体のことを考えた製品コンセプトを打ち出していきたい」(百瀬氏)と語り、新たなコンセプトの下で名称を「SEGUENTE」にあらためて、リリースしていくとした。

 SEGUENTEシリーズは54Caのほかにも、省スペースを実現したミッドレンジワークステーション「53Xc」、デュアルプロセッサを搭載したハイエンド向け「56Xd」、放送局向けに特化し、実写とCGの合成が可能な「オンエア・ワークステーション」、シンクライアント型のネットワークブート方式対応ワークステーション「Ardence用ワークステーション」などが用意されている。

 百瀬氏は、「SEGUENTEシリーズは次の10年を担うプロユース向けワークステーションシリーズだ。ワークステーションなので、管理・監視機能の強化を図っている。水冷方式を採用したことで空冷式よりも8万円程度割高になっているが、それに見合うだけの価値があると考えている。日本の狭いオフィスでは、それだけ騒音と排気の低減ニーズが強いと考えている。現在業界1位のデルではなし得ない、日本企業ならではの細かいニーズの吸い上げやサポートで、今年度は同社のシェアに肉薄していきたい」と意気込みを語った。

NEC 第二コンピュータ事業本部 副事業本部長 百瀬裕也氏

54Caに搭載されている水冷ユニット。「単純比較はできないが、同スペックの空冷システムと比べて8万円程度高い値段設定になっている」(百瀬氏)という

(@IT 大津心)

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NECの発表資料

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