情シスの夢の実現を手助けするLinuxを提供したい〜ノベル

2006/7/20

 ノベルは7月19日、エンタープライズ向けLinux製品群「SUSE Linux Enterprise 10」の提供を開始すると発表した。ノベル 営業本部 シニアマネージャ 山崎正広氏は「ノベルが2003年にSUSEを買収してから、正式にノベルが関与した初めての製品となる。製品バージョンも2けたになり、心機一転、シェア拡大を目指して提供していく」と意気込みを語った。

ノベル 代表取締役社長 堀昭一氏
 SUSE Linux Enterprise 10は、Linuxカーネル2.6.16をベースにしたエンタープライズ向けのLinux OSで、デスクトップ製品「SUSE Linux Enterprise Desktop 10」とサーバ製品「SUSE Linux Enterprise Server 10」、Web上で管理できるWebポータル製品「Novell Customer Center」の3製品で構成される。ノベル 代表取締役社長 堀昭一氏は、「当社はオープンスタンダードに基づくミックスソースで、情報システムの長年の夢だった“情報システムのオープン化”の実現の手助けをしたい」と語った。

 堀氏によると、米国ではプロプライエタリ(自社開発などの独自仕様)とオープンソースを組み合わせた「ミックスソース」と「Windowsのみ」の環境は58%対42%になっており、ミックスソースの環境が増えているという。さらに同氏は、「昨今話題の日本版SOX法への対応や企業合併などがきっかけとなって情報インフラの見直しを図り、オープン化に踏み切る企業が増えている。オープン化の進んでいる欧米を中心に、ワールドワイドでSUSE Linuxは30%のシェアを獲得した。SUSE Linux Enterprise 10のリリースによって、日本でも同じくらいのシェアを狙っていきたい」と語った。

 SUSE Linux Enterprise Server 10では仮想化テクノロジ「Xen 3.0.2」を搭載した。これにより、ストレージの仮想化も実現し、データセンタ全体でリソースの柔軟な活用を可能にしたという。アプリケーションを個別に管理できるアプリケーションセキュリティツール「Novell AppArmor」も搭載。アプリケーションが動作する範囲を規定し、それ以外の動作を禁止することで、セキュリティの向上を図っている。また、15%のパフォーマンスアップや10テラバイト超のメモリをサポートした。これにより、「学術研究用の大規模システムにおける計算をメモリ上で行うことができるようになった。一層、ハイエンドでのスケールアップが図れる」(山崎氏)と述べた。

 SUSE Linux Enterprise Desktop 10では、デスクトップ環境を改善。「Xgl」による3Dデスクトップ環境やオフィススイート製品「OpenOffice 2.0 Novell Edition」、デスクトップ検索エンジン「Beagle」などを搭載。iPodやカメラ、USBストレージなどのハードウェアもサポートすることで、「Windowsで当然のようにできていることをLinuxでもできるようにしたい。Windowsとの共存も考えて、Active Directoryなどにも対応した」(ノベル 営業本部 岡本剛和氏)と語った。

(@IT 大津心)

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