国際ITアウトソーシングは通信を大きく変容

NGNはすでに現実のサービスと語るAT&T

2007/03/02

att01.jpg 米AT&Tビジネス・セールス グローバル・セールス シニア・バイスプレジデント ジョン・フィネガン氏

 「AT&TにとってのNGNとは、MPLSとIPに基づくネットワークをベースに多様なサービスを統合し、提供していくこと。当社ではこれを“Services over IP”と呼び、すでに数年前から提供している。当社は技術を顧客に売り込もうとするのではなく、顧客のニーズに応えることに専念している」と、米AT&Tビジネス・セールス グローバル・セールス シニア・バイスプレジデント ジョン・フィネガン(John Finnegan)氏は同社が3月2日に実施した報道関係者向け説明会で話した。フィネガン氏は米AT&Tの法人向けサービス部門で、米国外の地域を担当している。

 米AT&Tは2005年11月にSBCを買収、さらに2006年12月にはベルサウスを買収するとともに、SBCとベルサウスの合弁による移動体通信事業者シンギュラー・ワイヤレスを吸収した。これによりAT&Tは地域通信、国内長距離通信、移動体通信、そして国際通信のすべての分野をカバーする総合通信事業者になった。

 そのAT&Tにおける現在のコアコンピタンスは「世界最大規模の拡張性に優れたIPベースのネットワーク」(フィネガン氏)。IPをベースにすることで、さまざまなサービスを即座に提供できると同氏は胸を張る。家庭向けには例えば数十のHDチャンネルで構成されるIP TVを提供、テレビやPCで同じようにコンテンツを観賞できるようにしている。法人向けには世界中にIPベースのネットワークサービス網を張り巡らし、「世界のどこに行っても同じやり方でプロビジョニング(接続設定)ができる」とフィネガン氏は話す。

att02.jpg AT&Tグローバル・サービス 代表取締役社長 湊方彦氏

 AT&Tグローバル・サービスの代表取締役社長 湊方彦氏も「NGNではCoS(Class of Service)が要件とされるが、当社は数年前から4つのサービスクラスを提供している。日本でも使いたいというお客様がようやく出てきた」と、NGNが実現するとされるサービスで先行していることを強調する。

 法人向けサービスは米AT&Tの売り上げの約26%を占めている。その基本的な方針は、米国企業をはじめとする大規模な多国籍企業が進出する国や地域をくまなくカバーすること、そして「1社の国際的な通信ニーズを単一の営業チーム、単一の製品で満たすこと」(フィネガン氏)だという。

 米AT&Tは買収の結果として財務体質の改善が進んだことを機に、2006年は国際展開を活発化させ、インドで外資系として初めて単独で通信事業者免許を取得、ベトナムの通信事業者との提携でベトナムにネットワークを拡張、中国ではデータセンターを増設するなどした。

 多国籍企業の国際ネットワーク利用は、このところインドや中国などへのITアウトソーシング・ニーズによって進化してきた。フィネガン氏によると、インドへのITアウトソーシングは「もはやトレンドではなく現実」。人件費が安いながらも教育レベルの高い労働力を活用したい大規模な多国籍企業は、もはやインドだけではなく、パキスタン、ベトナム、東欧、ラテンアメリカなど、幅広い地域を考慮に入れてITアウトソーシングを検討しているという。中国についても沿岸地域のみならず、内陸地域が物色されるようになった。

 日本のユーザー企業や日本IBMなどのアウトソーサーも、積極的に同社の中国におけるデータセンターの利用を検討しているという。「日本企業の中には、中国における事業のために構築し、中国で運用を始めたシステムが大きく成長し、現在ではこのシステムをアジア全域から利用するようになったというケースもある」と湊氏は話した。

(@IT 三木泉)

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