MSのオンライン事業 新戦略

広告収入を軸としたメディア事業の本格化、マイクロソフト

2007/03/02

マイクロソフト写真 マイクロソフト オンライン事業部 執行役 事業部長 笹本裕氏

 「感動」×「感謝」=メディアビジネス。

 マイクロソフト オンライン事業部の事業部長に新しく就任した笹本裕氏は、同社のオンラインメディア事業をこのような方程式で表現する。ここでいう「感動」とは、文字や写真、動画などのコンテンツを指す。「感謝」は検索を始めとしたサービスのこと。マイクロソフトのオンラインメディア事業は、情報ポータルサイトのMSNと、サービスのポータルサイトであるWindows Liveの2つのメディアで成立しており、これらのメディアが担うそれぞれの特徴的なサービスを融合させることで、メディア事業の成功を達成しようとしている。

 MSNメディアネットワーク エグゼクティブプロデューサー 儲俊祥(Sean Chu)氏は、MSNがユーザーに届ける「感動」を構成する要素として、「発見」「リスペクト」「刺激」「提案」を挙げる。このなかで特に重要なのは「提案」と「リスペクト」。前職は海外テレビドラマ専門のCS放送会社AXN ジャパンの代表取締役だった儲俊祥氏は、リッチコンテンツを核にテレビ並の影響力を持つメディアへとMSNを強化していきたい意向を示している。「テレビで20〜30%の視聴率が取れるようなコンテンツをインターネットで展開するにはどうすればいいのか」。例えば、儲俊祥氏はこのような発想でMSNのメディア戦略を考える。そのためにマイクロソフトの資金力が生きてくるという。

 電通の調査によると、2006年のインターネット広告費は3630億円である。広告費全体は5兆9954億円。笹本氏および儲俊祥氏の視線は、インターネット広告市場よりも、日本全体の広告市場約6兆円を見据えているようだ。笹本氏は「テレビにかける広告費をインターネットに持ってこれれば」と話す。リッチコンテンツを核としたメディア戦略は、テレビの広告市場をターゲットとしている。

 メディア戦略の展開と並行して、広告販売施策においても新しい手を打っている。2006年12月7日に、新広告ブランド「マイクロソフト デジタル アドバタイジング ソリューションズ」(MDAS:Digital Advertising Solutions)を発表している。これは、マイクロソフトの膨大なソフトウェア資産やWeb技術を広告事業の要素として体系化したもの。北米日産とのタイアップによるオンライン広告を代表的な案件として発表している。

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(@IT 谷古宇浩司)

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