品質向上やシステム連携が課題とCNAレポート・ジャパン

コスト削減効果を背景に「Web会議システム市場は拡大」

2009/05/27

 会議システムに特化したマーケットリサーチ/コンサルティングを手掛けるCNAレポート・ジャパンは5月27日、「Web会議業界の最新動向と導入企業の背景」と題したプレス向け講演会を開催した。この中で同社代表の橋本啓介氏は、既存のPCやサーバを利用して遠隔会議を実現する「Web会議システム」市場は引き続き成長し、国内でも2012年ごろには、専用ハードウェアを利用する従来型のテレビ会議システムとほぼ同規模にまでに成長するだろうとの見通しを示した。

cna01.jpg CNAレポート・ジャパン 代表 橋本啓介氏

 Web会議システムとは、従来「デスクトップ会議システム」などと呼ばれてきたシステムの総称だ。PCに接続したカメラやマイクを通し、インターネットを介してデータをやり取りする。拠点を結んだリモート会議を手軽に実現できるため、出張が省け、その分コスト削減効果が見込めることに加え、最近では新型インフルエンザを背景に、パンデミック対策という観点からも注目を集めているという。

 同様のコミュニケーションは、Skypeなど、無償のソフトウェア/サービスを利用しても実現できる。ただ、企業向けのシステムはセキュリティ面で優れているほか、アプリケーションの共有やリモートコントロールといった機能も利用でき、さまざまなシステムとの連携が可能なことが特徴だ。特に、日本の企業が強く求めるカスタマイズ性に優れることもポイントだという。

 橋本氏は、Web会議システムではユニファイドコミュニケーションやグループウェア、CRMといった、ほかの業務システムとの連携が進んでおり、海外ではソーシャルネットワークサービス(SNS)と連動する事例などもあると説明。今後は、HDをはじめとする、より高精細な映像に対応することが課題になるだろうと述べた。また同時に、既存資産の有効活用という意味合いから、H.323ベースのテレビ会議システムとの接続性確保もポイントになるとした。

 講演会では、実際にWeb会議システムを開発、提供しているベンダも登場し、いくつか導入事例を紹介した。

 例えばブイキューブは、専用ソフトウェアやActiveXをインストールすることなくWebブラウザ上で利用できる、Flashベースの製品「nice to meet you」を提供している。既存の、H.323ベースのテレビ会議システムとのつなぎ込みが可能なほか、テレビ電話機能付きの携帯電話もサポートしている点が特徴だ。

 またキヤノンソフト情報システムでは、クライアント/サーバ型のWeb会議システム「IC3(アイシーキューブ)」を提供している。UDPではなくTCP/HTTPS通信を利用し、既存のネットワークに変更を加えることなく導入できる点がメリットといい、アパレルCADソフトウェアのサポート用として導入された事例があるという。同社によると、ネットPCとヘッドマウントディスプレイを活用し、熟練工の作業をWeb会議システムを介してそのまま動画として伝えてプラントでの現場教育に活用するという、さらにユニークな導入事例に取り組んでいる製造業の企業もあるという。

(@IT 高橋睦美)

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