[Analysis]

成長に陰りが見えてきたNTTドコモ、次の手は?

2001/11/27

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 NTTドコモの成長神話は、どうやら曲がり角を迎えているようだ。同社は11月7日、中間連結決算を発表した。それによると、前年同期比で売上高は17.8%、営業利益は33.6%伸びた。伸びの理由として同社は、データ通信利用の拡大、契約数の増加などを挙げている。その数字からだけ判断すれば、同社は相変わらず高成長を維持しているようにみえる。

 しかし、同社は、投資先であるオランダのKPNモバイルの株式評価損などで2627億円の特別損失を計上したため、当期純利益は1038億円にとどまった(前年同月比で50%以上の落ち込みで、単体の決算は278億円の赤字)。3月期の決算予想でも、当期純利益は前年同期比で30.2%減の2550億円を見込んでいる。

 特別損失を一時的なものとして無視しても、同社の売上高、営業利益、経常利益の伸び率は、以前よりも落ちてきていることは明らかだ。同社は当初、ユーザーを次第にFOMA(3G携帯)へとシフトさせ、その間における収益の伸びの鈍化を、海外に投資した携帯会社からの収益など(もちろん、iモードなどによるデータ通信など)で補おうとしていた。

 それが全世界的な景気停滞や海外の携帯会社の業績悪化などで、海外戦略のシナリオが狂い出した。日本でもFOMAへの注目度は高いものの、不況の影響もあってそれほど購入には結びついていないようだ。12月に京阪神の主要エリアと名古屋市がFOMAのサービスエリアとなるが、普及に弾みをつけるには力不足だろう。携帯電話の利用も、音声からデータへの比重が高まるにつれ、1ユーザー当たりの月間平均収入も落ち込み始めてきた。

 NTTドコモは、規模の拡大を狙い、FOMAのために巨額の設備投資を続けるのか、それとも収益率の向上に努め、iモードサービスの拡充を図るのか? 同社の3月期決算の内容次第では、これまでの戦略を見直すべきだとの声が高まりそうだ。

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