第6回 自治体におけるSSFC実証実験の意味


高村 茂
株式会社日本総合研究所
総合研究部門
新社会システム創成クラスター
2008年7月9日


 6部署150人が約2カ月の間、SSFCを体験

 さて、前置きが長くなってしまいましたが、SSFCの実証実験についてお話ししましょう。

 本実証実験は、品川区の協力の下、「ICカード職員証」を核とし「物理的セキュリティ」「情報システムセキュリティ」「事務機器・什器の利用管理」を連携させた高セキュリティな職場環境の利便性および導入・活用効果を検証するものです。そこで、ゲート、PC、プリンタ、監視カメラなどのセキュリティ機能を1枚のICカードで連携できる「SSFCフォーマット」で作成されたICカードを仮の職員証として設定しました。

【関連リンク】
SSFC実証研究コンソーシアムが品川区と協力・連携(PDF)

 実験期間は2007年6月11日から8月3日まで、6部署150人の職員が参加しました。実証実験の狙いは、職員によるSSFCによる情報セキュリティ管理を実体験することで得られるフィードバックから、最先端のICカードの適用可能性について検討することです。

 実証実験では、品川区の職員がICカードの職員証を持ち、1枚のカードで勤怠管理、入退室管理、PCのログイン管理、プリンタの親展出力管理などの情報管理を行いました。また、高いセキュリティレベルが必要な部屋においては、入退室管理機器やプリンタと監視カメラを連動させ、機器のログ情報に加えて映像記録も管理しました。

 実験終了後には、ICカードを利用した職員に対するアンケートや情報・ネットワーク管理者へのインタビューなどを行い、SSFC機器連携の利便性・有効性を検証しました。

 なお、品川区は情報セキュリティ確保のためにすでにICカード職員証を導入しており、入退室管理や就業後の赤外線による不法侵入管理などの取り組みを行っている先進的な自治体の1つです。

 実証実験では、ICカード職員証を活用して次のような機器連携を行いました。

1. 入退室管理+監視カメラ連携

入退室管理機器(ゲート)で入退室を行う際に、職員がICカード職員証をかざすタイミングで監視カメラが画像を撮り、ICカードの職員情報とともに保存・管理する

2. 入退室管理+鍵ボックス連携

ゲートを正規に通過したという記録のあるICカード職員証でのみ鍵ボックスの開閉ができ、開閉した職員の情報を保存・管理する

3. 入退室管理+PCログイン+親展印刷連携

ゲートを正規に通過したという記録のあるICカード職員証でのみPCにログインできる。また、ドキュメントを印刷する際には、PCで印刷指示を出してもプリンタから印刷物は出力されず、印刷指示をした職員が自身のICカード職員証をプリンタにかざすことによって出力させる。これにより、他人の書類を間違えて持っていったり、重要な文書がプリンタに置き去りになったりする状況を回避する。併せて、印刷情報についても職員情報とともに保存・管理する

4. 入退室管理+PCログイン+親展印刷+監視カメラ連携

3に加えて、プリンタにICカード職員証をかざした瞬間に監視カメラが連動し、プリンタに書類を取りにきた職員の画像を撮影するとともにその情報を保存・管理する

 部署と実証項目の関係は次のとおりです。

画像をクリックすると拡大します

 実証実験には、現在157社以上の民間企業が参加して運営されているSSFCアライアンスに声を掛け、趣旨に賛同する18社によってSSFC実証研究コンソーシアムを組成しました。

実証フィールド提供 東京都品川区
実証研究コーディネートおよび効果検証 日本総合研究所
ICカード職員証提供 大日本印刷
入退室管理機器提供 アート、タツタ システム・エレクトロニクス、 東急建設
監視カメラ提供 タイテック
プリンタ提供 沖データ、キヤノンマーケティングジャパン、コニカミノルタビジネスソリューション、東芝テック、富士ゼロックス、リコー
勤怠管理機器提供 アマノ、セイコープレシジョン
鍵ボックス提供 ジーエルサイエンス
PCログインソフト提供 アイベクス、インテリジェント ウェイブ、日本ユニシス

2/3

Index
自治体におけるSSFC実証実験の意味
  Page1
自治体市場は公開されている市場
Page2
6部署150人が約2カ月の間、SSFCを体験
  Page3
ICカード管理への抵抗感は使用するにつれて減少

RFID+ICフォーラム トップページ


RFID+IC フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)
- PR -

注目のテーマ

Master of IP Network 記事ランキング

本日 月間
ソリューションFLASH